市民派議員になるための本-おわりに-

『市民派議員になるための本』は、2001年12月に、たった25日で書き下ろした本です。この本のプロデューサーは上野千鶴子さんです。
ど素人のわたしは、本を書くイロハを上野さんから学びました。
この本は、今読み返してもとてもよい本だと思うのですが、わたしが本を書けたのは、師匠がよかったからだと今でも思っています。
この本を書いた理由はふたつあります。
ひとつは、上野さんのため、もう一つは、まだ見ぬ読者のためです。
いま、この本の内容を連載するのは、ひとりで多くの人に立候補を決意してほしいから。
立候補がなければ、当選もありません。
選挙や政治がどういうものか分かれば、「私も議員になってみよう」という人が増えます。
本のメッセージは、「おわりに」こんな言葉で結んであります。

 わたしには、あなたに切実に伝えたいメッセージがあります。
 あなたが、本を読みながらこのわたしの経験を共有し、わたしからのメッセージを受けとり、読みおわって「わたしも市民派議員になりたい」と思っていらっしゃるなら、とてもうれしい。
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『市民派議員になるための本・・・・立候補から再選まで・・・』(寺町みどり著/プロデュース・上野千鶴子/ 発行 学陽書房)
 おわりに -

 『市民派議員になるための本』はラディカルな実用書です。
 わたしはこの本を、「読むだけの本」ではなく、現場で「使いたおしてもらうための本」として書きました。
 わたしが議員のとき、現場でつかえる本はほとんどありませんでした。議会はオドロキの連続で、わたしはなにかにつまづくたびに、『議員必携』や『自治六法』(ぎょうせい)をたよりに、行政実例や判例を調べ、法の解釈や運用を自治省(現総務省)や県地方課(現市町村課)に聞き、議会の内外で議論しました。
 まわりを見まわしても、この分野でさきを歩く人はいなくて、わたしは議会で多数派を相手に孤独なたたかいを強いられました。そんなわたしを支えてくれたのは、仲間やまちの女たちでした。
 この市民派議員をとりまく状況は、現在でも変わっていません。むしろここ数年、逆風は強くなり、わたしのまわりでも市民派議員へのイヤガラセや理不尽な懲罰事件がふえています。かくじつにチカラをつけ議会のなかでたかう市民派議員の存在が、多数派議員の足元の既得権をおびやかしているからです。
 ’99統一自治体選挙で、女性議員の数はたしかにふえましたが、議会で市民派議員としてはたらくのはカンタンなことではありません。多数派議員からの圧力やセクハラにあい、たたかうことをあきらめる市民派女性議員もすくなくないのです。
 だから、議会でなにが起きるかを知り、数の力に対抗するノウハウとスキルを身につけることは、市民派議員になるために必要なことです。わたしは、自分の経験とノウハウをあとにつづく女たちに伝えたいと思い、カオの見える関係のなかで、勉強会を続けてきました。

 昨年の夏、ひょんなことからわが家にあらわれて、「本を世に出しましょう」と言い出したのは、上野千鶴子さん。「書けません」と抵抗するわたしを、なだめたりスカシたり、とうとう自発的に本を書かせてしまったスゴ腕のプロデューサーです。
 11月、上野さんと7時間半かけて、自宅で5部構成約170項目の構成案をつくりました。わたしの書きたいことと上野さんのリクエストがかさなり、できあがった本の全体像を見て、よい本になると直観しました。
 「この手の本はテマがかかる」「発刊まで一年」と編集者の星野さんにお聞きし、マサカと思っていましたが、12月にわたしが初稿を書き下ろし、以来なんども3人のあいだを原稿が行き来しました。上野さんがこの本にかけた時間はボーダイなものでした。
 5月、確定原稿の打ちあわせのあと、地下鉄のなかで、上野さんに聞きました。
 「わたしの本のお仕事はアンペイドワーク(不払い労働)ですね?」
 上野さんは答えました。「いいえ。道楽です。」

 理論が経験を説明するものなら、理論を現場で具現化し実証することもできるハズです。この本は上野さんの著書から学んだ理論を現場でカタチにしたものだ、とわたしは思っています。制度のなかにはいって現場でたたかうには、その制度としくみを知ることが不可欠です。そのためには理論と言葉が必要です。
 現場と理論が乖離(かいり)しているとわたしは思いません。

 一年前、上野さんに「無党派・市民派とはなにか、わたしにわかるように伝えてください」と問われましたが、コトバにできませんでした。その答をわたしはこの本で書きました。
 わたしは本を書きながら、ドンドン景色が変わるという経験をしました。全体が見わたせるようになると、欠けているピースを自分でつくって入れました。できあがった絵は、わたしにとって思いがけないものでした。わたしはいま、あらたな地平に立っています。 
 わたしには、あなたに切実に伝えたいメッセージがあります。
 あなたが、本を読みながらこのわたしの経験を共有し、わたしからのメッセージを受けとり、読みおわって「わたしも市民派議員になりたい」と思っていらっしゃるなら、とてもうれしい。
 
 わたしが原稿を書くことに集中できる環境をさりげなくつくり、はんざつな資料の作成を手伝ってくれたパートナーのともちゃん、ほんとうにありがとう。
 学陽書房の名編集者、星野智恵子さんは、初心者のわたしの仕事を支えはげましてくださいました。交わしたメールはマクラになるほど。いまではわたしの大切なおともだちです。こころから感謝しています。
 そして、わたしを見つけ、わたしと組んで本をつくろうと言ってくださった上野さん。プロデューサー兼編集者として、はじめからおわりまで、わたしをあたたかく見まもり、原稿を読んで的確なコメントを出し、ていねいなコミュニケーションをしてくださいました。
 「同行二人」、わたしはあなたの存在にはげまされて本を書くことができました。
 この本のさいしょの一冊を、上野千鶴子さんに贈ります。

 --わたしが出会い別れたすべての人に、そしてこれから出会うあなたに、ありがとう。
                2002年 1年後の夏の日に 
                                          みどり
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