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5‐4 どんな議員になりたいのか?

 あなたはどんな議員になりたいですか? 
 現状の議会制度や行政を変えたいと思っていますか? それとも、とりあえず現状
を受けいれたうえで政策を実現したいですか? 
 どんな議員になりたいかを考えるとき「スタンス」ということが大切になります。
スタンスとは「足場」のこと。政治家としての自分のスタンスを決めることは、政策
より大切なことかもしれません。どこに足場をおき、4年間どういう姿勢で仕事をす
るかということです。
 無党派・市民派候補者のスタンスを具体的にいうと、「平場の市民の立場ではたら
きます」「弱者の視点で公平・公正な判断をします」ということです。
 市民とどのような関係をつくるのかも大切なことです。市民に対しては、「利益誘
導をしません」「利害関係で動きません」「議員になってもいばりません」「議会だ
よりをだします」というものです。
 議員になったら、議会でだれと組むのかも考えておきましょう。数が多いほうがよ
い、他の議員と組んだほうがよいと思う人は、議会のなかで「会派(かいは)」をつ
くります。会派に入れば仲間ができてこころ強いかもしれませんが、議会で自分の意
見を発言する前に、会派のなかで調整することになります。議会のあらゆる場で、自
分の意見を主張したい人は、会派には入りません。
 「政策」と「スタンス」はちがいます。議員としてはたらくためには、そのどちら
も明確にすることが必要です。
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5‐3 あなたはなにがしたいのか?

 環境、福祉、教育などの市民運動をしている人は、運動のなかで、行政や政治のカベにぶつかりつづけ、やがてみずからその制度のなかにはいって、なかから変えたい
と決心して議員になる人が多いようです。そんな市民派議員たちは、現実の政治の慣例やシステムを変えたいと、議会で孤軍奮闘しています。
 あなたは議員になったらなにがしたいのですか? それとも議員になりたいだけですか? 当選さえすればなんとかなると思っていませんか?
 政治を変えたいと思っているけれど、具体的な政策がない人は、いまからでもあなたのやりたいことを考えてみましょう。仲間がいるなら、仲間といっしょに関心のある政策を考えてください。政策をむつかしく考えることはありません。政治は生活そのものです。朝おきてから、夜ねるまでの毎日の生活の中に政治があります。あなたが毎日の生活で、なにかに疑問を持ち、解決したい問題があるなら、そのことをコトバにしていけば、政策が生まれます。政策はどこか遠くにあるものではありません。
 市民型選挙をすすめるには政策が必要です。その政策を市民から市民に、平場の関係で伝えていくのが市民型選挙です。多くの市民に共感され支持されれば、かならず当選します。
 従来型選挙の候補者が、リーフレットもつくらず、演説もしないのは、政策の中身がなくて、したくてもできないからです。おなじように、もしもあなたに議員になってやりたい仕事がなにもないなら、選挙で政策が立てられないでしょう。やりたいこと、政策がなければ、リーフレットもつくれませんし、演説もできません。だから、とりあえず議員になりさえすればなんとかなるという考えでは市民型選挙はできません。
 なにも政策のない候補者は、議員になりたいだけの候補者でしょう。議員のイスに座ってみたいだけの人。議会の場で議論したいと思わない人は立候補をしないほうがよいかもしれません。
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『市民派議員になるための本』(寺町みどり著/上野千鶴子プロデュース/学陽書房)
5‐2 決心するのはあなた

 あなたに政治を変えたいというこころざしがあり、「ジバン・カンバン・カバン」も、支持政党も組織もないなら、それだけで、すでにあなたは立派な無党派・市民派候補です。 市町村(基礎自治体)の、女性候補者に対する当選者の割合は8割を越えています。10人のうち8人の女性が、立候補さえすれば当選するということです。でも、市より町のほうが当選率が高いのに、人口の少ないまちほど女性議員が少ないのが現状です。原因は、立候補する女性の数が少ないからです。
 女性が立候補できないのは、そのまちに女性に対する差別や抑圧があるからです。どんな保守的なちいさなまちにも、女性を当選させる潜在的な可能性があります。なぜなら、どのまちにも女たちが耐えている現実のくらしがあるからです。なにも持たない女性が立候補し、市民型選挙をすることは、ただそれだけで、多くの女性に勇気と希望をあたえます。
 あなたがもしここまで読んで、わたしにも市民型選挙ができるかもしれないとこころが動くなら、あとはあなたの決心だけです。      
 仲間がいない? これからふやせばいい。政策がない? 仲間と相談してつくればいい。選挙のことをなにも知らない? 従来の選挙の手法は知らないほうがいいんです。市民型選挙のノウハウがない? 議会のことを知らない? この本を最後まで読んでください。 候補者さえいれば、選挙はできます。なぜなら「候補者の考えを、
有権者に伝える」ことが、選挙の基本だからです。
 立候補の決心はひとりでするものです。あなたの決心から、選挙のすべてがはじまります。なにかを決意すると、こころのなかでコトリと小さな音がして、まわりの景色がかわります。あなたが決心し、勇気を出してはじめの一歩をふみだせば、まわりの人を動かします。
 あなた自身のちからを信じてください。
 決心するのは、あなたです。

《参考》
・地方議会における女性議員の推移→グラ
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by midori-net | 2007-01-29 08:19
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第5章 立候補をどう決めるか?
5‐1 出したい人より出たい人を

 「出たい人より出したい人を」というコトバを聞いたことがある人からは、エッ逆じゃないのと言われます。そのとおり。まったく逆の発想です。このコトバには、当選したら議会で、だれがどのように議員としてはたらくか、の決定的なちがいがあらわれています。わたしの意見を持ち、わたしの意思と判断で議員としてはたらくには、まず出たい思いの強い人であることが不可欠です。 
 往々にして「だれかを出したい」「まちを変えたい」と走りまわる人が、もっとも思いが強い人です。だったらだれかを探すより自分で出たほうが話がはやい。やっと見つけた「出したい人」が当選したら体制に取りこまれていくケースは、残念ながら多いようです。ヒトからたのまれて出た候補者は、自己決定の連続の議会で、なかなか、よい無党派・市民派議員にはなれません。
 「市民型選挙はお祭りだ」と書きましたが、無党派・市民派候補者はミコシの上には乗りません。候補者は、先頭でミコシをかつぐ人。候補者が、ミコシの上であぐらをかいている選挙は、市民型選挙ではありません。みずから情報を収集し、考え判断し、行動するのが市民型選挙の候補者です。選挙で当選し、翌日から議員としてはたらくのは、候補者自身です。だから候補者は、仲間や市民とおなじ平場で、候補者自身がカナメとなり、いちばんさきを歩き、状況をよく知ることが大切です。
 仲間のなかから候補者を選ぶとき、もっとも信頼され、リーダーシップのある人が、候補者になるのがいちばんです。でも、もしその人がまったく政治に興味がないなら、説得するのは「時間のムダ」。内心、立候補してもよいと思っているのに「だれかに推されて出たいわ」と、自己決定もせず、ヒトに責任を転嫁する人はロンガイ。
 多くの選挙を見てきた経験から言うと、政治を変えたいという思いの強い人が候補者になるのがベストです。
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4‐3 市民型選挙は、人を変えまちを変える

 市民型選挙の原則は「他の候補者とちがうことをする」「ヒトのしないことをする」ということです。キーワードは「変える」です。なにもないのを強みにして、選挙を、政治を、まちを、現状を「変えたい」という思いを、市民に印象づけましょう。
 投票は、候補者への先行投資。市民は「わたしが動けばまちが変わる」という政治に対する期待感を一票に託します。 
 多くの人が市民派候補の名前を書いて投票箱に入れたとき、まちは確実に変わります。当選しても、しなくても、です。結果はあとからついてきます。
 有権者は、ナマエもカオも知らない人の名前はなかなか書いてくれません。前回まで「○山〇男」と書いていた白紙の投票用紙に、はじめての「○田〇子」と書くというのは抵抗があるものです。きのう会ったからといって、きょう投票してもらえるものでもありません。
 市民派候補の名前を書いてもらうためには、ネットワークをつくって、あらゆる表現で、有権者に政策やメッセージを届けることが大切です。メッセージが届いてはじめて、市民は「なにがいちばん大切か」を考えはじめます。目には見えないけれど、市民がだれかに頼まれたわけでなく、みずからの意思で「この人に入れる」と決めるとき、人は変わります。
 市民型選挙で「当選する」「結果を出す」というのは当面の着地点です。そこに行きつくまでに、たくさんの出会いがあり、感動があり、ドラマがあります。感動は人のこころを動かします。市民型選挙をすすめていくなかで、候補者も仲間もきたえあい共に育ちます。メッセージを受けとった市民も変わっていきます。
 選挙はけっして一方通行ではありません。
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4‐2 市民型選挙の行動3原則

 88年に出会った上野千鶴子さんの『女遊び』。冒頭から読むとヒトマエではとてもひらけない(と思う)ヒトがいるかもしれない本ですが、後半には「女性学」「組織論」「おんなの運動論」が明解に書いてあり、わたしは強く共感しました。なかにこんな一節があります。
 「日本の反体制運動の中には、ネットワーク型運動の先例がある。60年代に広がったベ平連の運動である。ベ平連の運動はそれ以前に1960年の三井・三池闘争の中で谷川雁さんたちがになった「大正行動隊」の行動原則にお手本を持っている。
その行動3原則は、
 ①やりたい者がやる、やりたくない者はやらない。
 ②やりたい者はやりたくない者を強制しない。
 ③やりたくない者はやりたい者の足をひっぱらない。
 という簡単なものである。言ってしまうと簡単なようだが、よく考えぬかれている。」 この行動3原則を、そのまま現場でカタチにしたものが市民型選挙です。
 これを「選挙3原則」と大きく書いてカベにはれば、あなたのまちで選挙の歴史と常識をぬりかえる、アッとおどろく画期的な市民型選挙が実現できます。 
 ①に行動をつけくわえるなら、「やりたい人がやりたいことをする。やりたくないことはやらない」です。「やりたくないこと」はとってもカンタン。「いままでの選挙のここがイヤ!」と思うことを、ぜんぶやらなきゃいいんです。
 市民型選挙は、一票から積みあげる、たし算、かけ算の選挙です。「やりたいこと」は、チエと工夫で実行に移しましょう。選挙に正解はありません。

《参考文献》
『女遊び』上野千鶴子著、学陽書房
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『市民派議員になるための本』(寺町みどり著/上野千鶴子プロデュース/学陽書房)
第4章 市民型選挙をたのしもう
4‐1 市民型選挙はお祭りだ!

  市民型選挙は、4年に一度のおんなたちのお祭りです。
 わたしたちにはなにもありません。だけど、ヒトのつながりという財産があります。この財産だけは使っても減りません。あとからあとからわいてくる「打出の小槌」のようです。なかまたちは、たのしい祭りに参加したくて、わくわくとまちのなかからわいてきます。
 選挙カーは「うごく舞台」。仲間がならんで手をふって、候補者がマイクから思いのたけを語れば、そのコトバに耳をかたむけてくれる人がいます。共感して拍手し、握手を求めてくる人もいます。
 選挙カーから手をふれば、遠くから「ガンバレヨー」とふりかえしてくれる人もいます。ヒトとヒトとがつながることの確かさを、選挙で感じることができます。これはとてもユカイな経験です。
 市民型選挙は参加型選挙だから、政策も自分たちでつくります。「わたし」の提案がリーフレットとしてかたちになり、政策になります。リーフレットを持ってまちに出れば、たくさんの出会いがあり、市民からはげましを受けます。多様な個性が、アイデアを出しあってなにかをつくりあげるって、ほんとうにたのしいものです。
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『市民派議員になるための本』(寺町みどり著/上野千鶴子プロデュース/学陽書房)
3-5 市民型選挙の注意事項

 市民型選挙をするときの、基本的な注意事項をあげてみましょう。
①ひとりよがりにならない。
②ちいさくまとまらない。
③市民より意識が高い、わたしたちがゼッタイに正しいと、思わない。
④有権者の受信能力をあなどらない。
⑤どんなによい政策でも、選択するのは有権者。
⑥ムードだけの選挙にしない。
⑦メッセージを有権者に確実に届ける作戦を立てる。
⑧ひろがっているハズ、というおもいこみは通用しない。
⑨ひとつずつやりたい仕事、できる仕事を、確実にこなしていく。
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『市民派議員になるための本』
(寺町みどり著/上野千鶴子プロデュース/学陽書房)
3‐4 市民型選挙のおちいりやすいワナ

 市民型選挙にもおちいりやすいワナがあります。「教科書問題」「高速道路反対」などの個別の政策課題は、その人にとっては切実な問題かもしれませんが、これだけを政策としてかかげても当選しにくい傾向があります。
 なぜなら、特定の課題は、だれもが興味をもっているとは限らないからです。個別課題では、それに興味をもち、共感した人にしか投票してもらえません。だから個別課題ではなく、できるだけひろい範囲の政策を立てましょう。この注意は、市民運動出身の市民派候補者には、とくに大事なように思います。
 市民運動をやってきて、選挙も経験して学んだことは、「わたし」が正しいと思う政策だけをあげても、選挙になりにくいということ。それはなぜだろうと考えたとき、「市民がのぞんでいることはなにか?」という発想の転換がおきます。市民運動をやっていると、「わたし」のアピールを受けとらないほうがわるい、聞かないほうがわるいと思いこみます。「わたしたち正しいことをやってるのに、理解しない市民がわるい」って。わたしもそうでした。でも伝えたいことが伝わらなければ、言葉を発する側の伝えかたがわるいのです。「受け手にどんなメッセージを届けたら受けとってもらえるだろうか?」という発想は、市民運動だけを必死にやっているときは、余裕もないし、なかなか思いうかびません。
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『市民派議員になるための本』
(寺町みどり著/上野千鶴子プロデュース/学陽書房)
3‐3 だれでもできる市民型選挙

 「だれでもできる」というのは、「タダの市民なら」という意味です。そうじゃない人が、カタチだけ市民型選挙のマネをしようとしてもうまくいきません。それはなぜでしょう?
 市民型選挙のいちばんの特徴は、選挙をになう市民と候補者が、いまある権力構造、利益誘導型の政治の恩恵にあずかったことのない人たちだということです。そこからぬけおちた人、谷間にこぼれおとされた人、そして自分の意思でぬけた人も含みます。
 現在の政治は、行政と議会が強い権力と権限を持ち、政党や地域ボスや土建屋が、カネとモノをまわしあっています。市民型選挙は、そこからまったくはずれた市民が候補者になり、おなじ立場の多くの市民にメッセージを伝える選挙です。そういう人なら「だれでもできる」選挙です。
 「わたし」のいままでの思いを「あなた」に伝えれば、市民から市民へと思いは確実に伝わっていきます。わたしのくやしい思いや、毎日のくらしで疑問に感じていることが、そのまま政策になっていきます。
 「わたし」がいままで思っていたことを、言葉で表現すると、権力構造のなかにいる人たちは、「なにをバカなことを言ってるんだろう」と思うようですが、市民は共感してくれます。
 市民から市民へ、コトバにのせた思いのリレーが市民型選挙です。
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