以下、転送・転載歓迎です。

朝鮮民主主義人民共和国の核実験実施発表に関連して、
世界平和アピール七人委員会は、10月11日、アピールを発表しました。
朝鮮民主主義人民共和国の核実験発表に対するアピール

世界平和アピール七人委員会は、1955年11月、下中弥三郎、湯川
秀樹氏らによって創設され、委員は入れ替わってきましたが、すべての
核兵器をはじめとする大量破壊兵器の廃絶と、国家主権を無制限に絶対
視することなく、国際紛争の武力によらない解決を図る世界秩序を目指
して、世界にアピールしてきました。このアピールは89本目に当たり
ます。このアピールは発表とともに、各国政府に送り、
早急にWEBサイトにも掲載します。(池田香代子)
-------------------------------------------------------------------
世界平和アピール七人委員会 アピール第89号J

2006年10月11日
世界平和アピール七人委員会

委員 伏見康治 武者小路公秀 土山秀夫 大石芳野 井上ひさし 池田香代子 小沼通二

       朝鮮民主主義人民共和国の核実験発表に対するアピール

 私たち世界平和アピール七人委員会は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)政府が発表した10月9日の核兵器実験実施について、いかなる条件の下であれ、朝鮮半島と日本を含めた周辺、ひいては世界の平和と人間の安全保障の立場から、反対を表明する。核兵器によって、国の安全が保証されると考えるのは幻想に過ぎない。1945年以来、世界各地で発生している被爆の実態を思い起こせば、人類が核兵器と共に存続していくことができないのは明らかである。

 私たちは、日本はじめ関係各国が、北朝鮮がこのようなかたちで自国の安全を保障しようと結論した遠因を冷静に分析すること、そして、国連において同国をいっそう孤立させて東北アジアにおける平和の実現を困難にしないことを、切に希望する。

 私たちは、10月3日の北朝鮮外務省の声明第3項目に注目する。そこには、北朝鮮の最終目標が、朝鮮半島とその周辺から核の脅威を根源的に取り除く非核化である、と明言されている。北朝鮮政府は、6か国協議の場で、この最終目標に向けて共に努力すべきである。

 この目標は、かねてから日本でも民間から提案されている東北アジア非核兵器地帯構想そのものである。私たちは、今年9月8日に調印された中央アジア非核兵器地帯の実現に向けて、日本政府が大いに協力してきたことを評価する。いまや非核兵器地帯は、南極を含む南半球から北半球に広がりつつあり、大気圏外の宇宙、海底もすでに非核兵器地帯になっている。日本政府は、核兵器廃絶に向けて重要な一歩を進めることになる日本を含む非核兵器地帯の実現に向けても、最大限の努力をするべきである。

 関係諸国は、国連において国連憲章第7章に訴える措置を講じ、あるいは進める前に、韓国が進めてきた朝鮮半島の南北会談を支え、米朝、日朝の話し合いをすすめていくべきである。国際紛争は、いかなる場合であっても、戦争以外の話し合いで解決を図るべきである。武力によって、安定した繁栄をもたらすことはできない。武力行使につながる動きは、決してとるべきではない。

 さらに根本的には 核兵器保有国が核兵器に依存する政策を続ける限り、核兵器を保有したいという誤った幻想を持つ国が続くことは確実である。核兵器保有国は、今回の北朝鮮による核兵器実験が、核拡散防止の国際的な枠組みを弱体化させ、それに拍車をかける動きであることを直視して、核兵器の不拡散に関する条約(NPT)第6条の精神に立ち戻り、核兵器廃絶に向けて速やかに真摯な行動を起こさなければならない。世界がいつまでも現状のまま続くと考えるのは間違っている。

 私たちは、朝鮮民主主義人民共和国政府に対し、初心に帰って、同国声明が言うとおり、朝鮮半島とその周辺の非核化に向けての建設的な話し合いを速やかに開始することを求めるとともに、日本政府をはじめ、関係各国政府が、世界の平和と人類の生存をかけて、朝鮮民主主義人民共和国政府と、前提条件をつけることなく真剣な話し合いを始めるよう求めるものである。
-----------------------------------------------------------------

[PR]
# by midori-net | 2006-10-11 16:40 | お知らせ
市民自治と市民派女性の政治参加をすすめる「女性を議会に 無党派・市民派ネットワーク」では、7月8日(土)に、名古屋市女性会館で、シンポジウム「政治を市民の手に!ひとりからはじまる」を開催します。
当日のタイムテーブルと内容の詳細が決まりましたのでご案内します。

浅野史郎さんの基調講演「脱政党の時代に」のあとには、
今大地はるみさんの福井の図書排除事件の詳細と最新情報、小川まみさんの桑名市議会の政務調査費の監査請求の話など、パネリストのみなさんも資料を準備して、少数派の市民派が議会の内外でいかに闘うのか、タイムリーで実践的な基調報告をします。

他では聞けない話ばかりなので、是非ともひとりでも多くの方に参加していただきたいと願ってます。
受付の混雑を避けるために申込んでいただけるとうれしいのですが、申込みははまだそれほど多くないし、会場は広いので、当日参加でもOKです。都合がつく方は、お誘いあわせて、ぜひ参加ください。

7月8日はいろんなイベントがめじろおしで、参加者の募集に苦労していますので、
以下の案内を、ぜひ関心のある方に転送していただけと、うれしいです。

--------------- 以下、転送・転載大歓迎 --------------------------

シンポジウム「政治を市民の手に!~ひとりからはじまる」
日時:2006年7月8日(土) 13:00~16:00(開場 12:00)
会場:名古屋市女性会館 大ホール (052)331-5288(代表)

《タイムテーブル》
13:00~開会
第1部 13:05~14:30
基調講演:浅野史郎さん(慶応大学教授・前宮城県知事)
      「脱 政 党 の 時 代 に」
      脱政党をどう考えるか/できたことできなかったこと
      市民自治とは何か/これからの地域社会のあり方
      市民派首長・市民派議員の果たす役割  etc

第2部 14:40~ パネリスト基調報告 
★福井発・焚書坑儒~バックラッシュとたたかう
    今大地はるみ(福井県敦賀市議) 
★議員の税金の使い方~政務調査費を問う
    小川まみ(三重県桑名市議)
★議会にいい風を吹かせる
    小池みつ子(愛知県長久手町議)
★市民として議員として 制度を使いたおす
    寺町ともまさ(岐阜県山県市議)
★市民派女性の政治参加(仮)       
    高瀬かおる(岐阜市民)
      
15:15 パネルディスカッション
「政治を市民の手に~私たちに何ができるか」
コーディネーター寺町みどり

参加費:1000円(当日参加も可)
問合せ・申込み先は、寺町みどり
     T/F 0581-22-4989
     e-mail midori@ccy.ne.jp
主催:女性を議会に 無党派・市民派ネットワーク
共催:無党派市民派 自治体議員と市民のネットワーク

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
以下はオプション講座です。
◆会員および市民派議員の紹介がある方の参加費は、
  午後1~8時までのシンポと選挙講座の通しで市民3000円、
                 市民派議員(立候補予定者)6000円です。
  通しの参加を希望される人は、みどりまでご連絡ください。

【セッション2】第2回「M&T企画/選挙講座」
         「選挙に当選する人、しない人-2」
会場:名古屋市女性会館 大会議室
日時:7月8日(土)17:00~20:00
対象:連続講座参加者ほか(市民派に限定)
《タイムテーブル》
17:00 「M&T講座の説明」みどり
17:05 「浅野史郎~わたしの選挙」~浅野史郎さん
18:05 「当選する選挙、落選する選挙&選挙こぼれ話
      ~各地の選挙を見て」~みどり&ともまさ
19:00 プレゼン「私の選挙の勝因・敗因」~連続講座参加者
19:30~20:00  ディスカッション

第2回【選挙オプション講座】 
日時:7月9日(日)9:00~14:00
会場:名古屋市女性会館 大会議室
講師:寺町みどり&ともまさ
対象:連続講座参加者のみ
テーマ:選挙(政治活動)でかかえている問題(と解決)
     議会との関係でかかえている問題(と解決)
-----------------------------------------------------------
[PR]
# by midori-net | 2006-06-28 09:22
 桜の花も満開で、春本番です。
 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
 市民派女性の政治参加をすすめる「女性を議会に 無党派・市民ネットワーク(通称「む・しネット」)」では、統一自治体選挙の前年にあたる今年度、「ジェンダーの視点を基本に、権威主義を排し、性にとらわれないでその人がその人らしく能力が発揮でき、個人として尊重される、公平・公正で平和な社会をめざす」市民派議員をふやしたいと、いろいろな事業を計画しています。
 さいしょは、5月13日(土)の公開講座「勝てる選挙~市民派議員を増やそう!」。7月8日(土)には、名古屋市女性会館(名古屋市)にて、シンポジウム「政治を市民の手に!~ひとりからはじまる」を企画しています。5月「公開講座」の講師は、「みどり&ともまさ(M&T)」です。
 シンポジウムの基調講演およびパネリストには、念願の浅野史郎さんにお願いし、快諾を得ました。主催は「む・しネット」で、共催は「自治ネット(無党派・市民派自治体議員と市民のネットワーク)。公開講座およびシンポジウムの準備は、プロジェクトスタッフですすめはじめたところです。
 また、5月から10月までは、昨年につづいて、「M&T企画/選挙講座」スキルアップ編を、5連続講座で企画しました。5月の公開講座と、7月のシンポジウムも、「M&T企画/選挙講座」の、一般公開部分と位置づけています。
 7月のシンポジウムの会場は、名古屋市女性会館大ホール(定員350人)なので、多くの方に浅野さんの「脱政党の時代に」の基調講演をお聞きいただき、後半の「わたしたちに何ができるか」をパネリストの市民派議員と会場のみなさんといっしょに考えたいと思っています。
 公開講座とシンポジウムにはどなたでも参加できますが、事前に申し込みが必要です。それぞれ関心のある企画に、お誘い合わせて、ぜひお越しください。
 また、「む・しネット」の活動は、「やりたい人がやる」を基本に、それぞれの企画を自主プロジェクトですすめています。シンポのチーフスタッフは高瀬かおるさんです。上野千鶴子さんの講演会および「市民派議員アクションフォーラム」以来の大きな企画なので、ひとりでもたくさんの人にネットワークを広げたいと願っています。
 上野千鶴子さん講演会および「市民派議員アクションフォーラム」以来の大きな企画なので、ひとりでもたくさんの人にネットワークを広げたいと願っています。お忙しいとは思いますが、以下のチラシをごらんいただき、趣旨に賛同していただけましたら、あなたから輪を広げていただければいただければ、うれしいです。
  
                              (参加申し込み・連絡先)
                               寺町みどり T/F 0581-22-4989
                              (プロジェクトスタッフ・連絡先)
                               高瀬かおる T/F 058-265-5732
------------------------------------
 
★7月8日シンポジウム「政治を市民の手に!」(PDF版)
シンポジウム「政治を市民の手に!」~ひとりからはじまる~

日時:2006年7月8日(土) 13:00~16:00(開場 12:00)
会場:名古屋市女性会館 大ホール (052)331-5288(代表)

第1部:浅野史郎さん(慶応大学教授・前宮城県知事)
基調講演「脱政党の時代に」
第2部:パネルディスカッション「私たちに何ができるか」
コーディネーター/寺町みどり(「む・しネット」事務局)
パネリスト:浅野史郎/小川まみ/小池みつ子/
      今大地はるみ/寺町ともまさ/高瀬かおる
参加費:1000円(どなたでも参加できます。事前に申込みが必要です)
申込み:寺町みどり T/F 0581-22-4989
          e-mail midori@kenmin.net

主催:女性を議会に 無党派・市民派ネットワーク(「む・しネット」)
共催:無党派市民派 自治体議員と市民のネットワーク(自治ネット)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

★5/13公開講座「勝てる選挙」&「M&T企画/選挙講座」(PDF版)
オープニングは公開講座です。
「勝てる選挙~市民派議員を増やそう」

と き:2006年5月13日(土) 13:30~16:30
ところ:ウィルあいち 特別会議室(052-962-2511)
第1部 《あなたのまちに市民派議員を!》   寺町みどり
《議員はおもしろい。さぁ議員になろう》寺町ともまさ

第2部 激論 「私でも議員になれますか!?」 
寺町みどり&ともまさVS高瀬かおる(つっこむ市民)
参加費:1000円(要申込み)
申込み: 小川まみ T/F 0594-31-6641
           e-mail mam-01@intsurf.ne.jp
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

連続講座 「M&T企画/選挙講座」スキルアップ編
講 師 寺町みどり&ともまさ(M&T)
日時:5.7.8.9.10月の5回/13時から20時
   (5月と7月のセッション1は講座とシンポ)
第1回  5月13日(土) 17~20時 《選挙で当選する人、しない人-1》  
第2回  7月 8日(土) 17~20時 浅野史郎~わたしの選挙
《選挙で当選する人、しない人-2》 
第3回  8月12日(土) 13~20時 《法律やルールを使ってたたかう》
第4回  9月 9日(土) 13~20時  《基本は「政策」と「公約」》
第5回 10月 7日(土) 13~20時 《メッセージを届ける~あとは全力疾走》
・・・各回、翌日にオプション講座あり。
対 象: 無党派・市民派の議員・市民に限定
対 象: 無党派・市民派の議員・市民に限定
全回通しでの参加が原則です。事前申込みが必要です。
会場・参加費はお問い合わせください。
お問い合わせは、寺町みどりへ TEL0581-22-4989   
------------------------------------------------------------

詳しくはこちらをクリック↓
みどりのwebページ
主催の「む・しネット」のブログも新しく作りました。
「む・しネット」blog
みどりの一期一会もご覧ください。

★7月8日シンポジウム「政治を市民の手に!」(PDF版)
★5/13公開講座「勝てる選挙」&「M&T企画/選挙講座」(PDF版)


[PR]
★7月8日シンポジウム「政治を市民の手に!」(PDF版)
★5/13公開講座「勝てる選挙」&「M&T企画/選挙講座」(PDF版)

詳しくはこちらをクリック↓
みどりのwebページ
みどりの一期一会もご覧ください。
[PR]
あさ4じ半に目が覚めて、
『む・しの音通信』のゲラを見直し、また少し寝た。
5日の原稿締め切りからずっと編集作業をしていた、
『む・しの音通信』54号のできあがり。

5時半から、本格的にお仕事開始。
今日は通信と、7月8日(土)浅野史郎さんを招いての
「政治を市民の手に!~ひとりからはじまる」シンポと
5月13日(土)「勝てる選挙~市民派議員を増やそう」
公開講座のチラシの発送日。

昨日にPDFファイルで版下が届き、
夜のうちに印刷しておいた、シンポのチラシは
いい感じに出来あがった。

印刷枚数は、とりあえず5000枚。
通信といっしょに広く発送する予定。

スタッフがやってくるまでに、
と通信の印刷をはじめたけれど、
えっ、A3の紙が・・・・・・足りない(泣)。
連れ合いが市内の事務用品店に買いに走り、
10時頃、スタッフのふたりがやってきた。

人手がおおいと仕事もはかどる。
会員用に送るチラシと通信のメドをつけ、
お昼は、炊き立てご飯にとろろをかけて、
とりたて野菜のサラダ。
おいしいものを食べて少しはリフレッシュしたかな。

ゆっくり休む間もなく、会員以外の人にも
お手紙を入れて、発送作業にかかる。
発送締め切りの7時に間に合わせようとフル回転。
けっきょく、一日でチラシ5000枚、
通信約500部の発送を終えました。
チラシは手元に一枚も残っていない。
12時間は仕事をしたことになる。

ヤマトのメール便にも間に合いました。

それにしても、
つかれました~。
[PR]
4月3日の中日新聞夕刊・文化欄に、
WBCについて、印象的なエッセイが載った。

わたしも中学・高校・社会人とバドミントンをしていて、
スポーツはきらいではないけれど、
このところのオリンピックや国際試合などの、
ナショナルな雰囲気には強い違和感を感じていた。
それをものの見事にことばにしてくれている。

「いい記事だなぁ」と読んで思った。
星野さんてすごい人だ、とすぐにネットで本を検索した。
「星野智幸アーカイヴス」はこちらから

在日コリアンの幼なじみを親しい友として、
このエッセイに共感するわたしは、
執筆者の星野智幸さんと「東京新聞」が、
ネット上で「すさまじいばっしんぐ」を受けていることに
おどろいている。

夕刊をとっている人は少ないので、
たくさんの人に読んでほしいと願いながら、
以下に、中日新聞の記事(4/3付)を紹介します。

(星野智幸さんから転載許諾を得たものです。
エッセイの無断転載は禁止します)

-----------------------------------------------------
差別はなかったか  WBCがまとう暗いナショナリズム 
星野智幸
 「屈辱」発言への共感 高ぶる反応に違和感
 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で王ジャパンが優勝した日、日本じゅうが盛りあがっているのを尻目に、私は暗い気分でいた。WBCがアメリカ主導のいびつな運営だったというだけでなく、イチロー選手の言動とその受け止められ方にどうしても引っ掛かりを覚えてしまうからである。
 イチロー選手の才能と偉業には、私も常々、畏敬の念を抱いてきた。あれだけ巨大な存在だからこそ、その発言は当人の意図を超えて、よいほうにも悪いほうにも影響を及ぼす。私が疑問を感じるのは、イチロー選手の発言をめぐる日本社会の反応である。
 特に私が違和感を覚えたのは、二次リーグで韓国に連敗を喫した後の、「ぼくの野球人生の中で最も屈辱的な日です」というコメントである。 「屈辱」という言葉は、ライバル意識や「悔しい」という自分の内面を示すだけでなく、 相手から不当な辱めを受けたという敵も含む。 私はここに、相手を蔑むニュアンスを感じずにはいられない。 仮にあなたが、同期入社の社員より早く係長なり課長なりに昇進したとしよう。 その社員が「最大の屈辱だ」とコメントしたら、あなたは「見下された」と感じないだろうか。むろん私も、月面に着陸したアメリカ人宇宙飛行士よろしく、マウンドに太極旗を立てた韓国人選手たちの行為を「みっともない」と思ったが、「屈辱だ」とは思わなかった。
 その後、韓国と三たび相まみえることになったとき、イチロー選手は「日本が三回も同じ相手に負けることは決して許されない」と述べた。ほとんどけんか腰とも言えるようなその口調が誰かに似ている、と思ったら、それは去年の夏、優勢民営化法案が否決され衆議院を解散したときの、小泉純イチロー首相の会見での話し方だった。
 そう、二人は似ているのである。闘志と感情をむきだしに己を鼓舞し、仮想的を作り、勝利ののちは自画自賛する。優勝後にいたるまでイチロー選手の口から聞かれたのは、日本代表や日本野球のすばらしさを自ら讃える言葉ばかりだった。韓国という隣人の感情を想像しようとはしないデリカシーの欠如においても、両者はそっくりである。
 だが、私が最も異様に感じたのは、そのデリカシーの欠如を、日本人の多くが共有しているらしいということである。「屈辱」という、どう解釈しても差別的なイチロー選手の発言は、不思議なことに、大手メディアを始め、日本の中ではそれほど物議を醸さなかった。つまるところ、多くの日本人の中には同じような差別意識が潜んでいるがゆえに、誰も疑問に思わないのではないか、とさえ思ってしまう。
 これは私の勝手な考えだが、こじれる一方である首相の靖国神社参拝問題によって、日本人の間には韓国を疎ましく思う気持ちが強まっており、WBCでのイチロー選手の発言はその傾向にみごとに合致した、ということではないだろうか。極端に言うと、イチロー選手の発言は、靖国参拝という国内事情にガタガタ口を挟む韓国への恫喝として、日本の視聴者の賛同を得たかのように、私の目には映りもしたのである。
 首相の靖国神社参拝について、多くの世論調査で賛否はほぼ拮抗しているようだ。だが、実際に自分が靖国神社へ参拝している人はとても少ない。首相参拝に賛成している人のうち、小泉首相が参拝して問題となる以前から「首相はなぜ参拝しないのだ」と思っていた人は、はたしてどのくらいいるのだろう。
 私には、世論が架空の敵を作っているようにしか見えない。靖国神社自体のことは本当は重要ではなく、韓国や中国がうるさく言うからあえて参拝してやれ、という一種の嫌がらせのような空気すら感じるのである。そこには、他人を貶めることで自我を強固にしたいという、攻撃欲が含まれてはいないか。
 せっかく好ゲームを展開して優勝したはずのWBCに、暗いものがつきまとって感じられるのは、日本の中に潜むこのような攻撃欲があからさまに姿を見せ始めた大会だったからである。これまで他の国際スポーツ大会、特にオリンピックやサッカーのワールドカップでも、他者を差別することでモチベーションと熱狂を高めるような露骨なナショナリズムはあまり見られなかった。
 そのことを疑問に思う声が少なく、新聞でさえも差別を問う議論がなかったことに、私は失望している。(ほしのともゆき=作家)
(2006.4.3 中日新聞夕刊・文化欄より)
--------------------------------------------------

講師拒否事件でバックラッシュを受けている
上野さんにコンタクトをとる用事があったので、
ご参考までにと、新聞記事をお送りした。

記事を読んでの感想がすぐにメールで届いた。
ブログ転載の許諾をもらったので、
以下に全文を紹介します(無断転載禁止)


上野千鶴子さんからの感想-------------------------------------------
記事拝読。
星野さんという書き手には、このところ注目していました。とりわけエッセイが抜群
におもしろく、掲載紙の「日経」(購読していなかったので)を毎週、友人から切り
抜きでもらっていたほどです。
内容はまっとうなことばかり。ですが、猛反発の理由はわかります。ネット上では臆
面もない「第三国人差別」が目を覆うばかりに横行しており、「ネット上の正義」に
抵触して叩かれるのは理解できます。とはいえ、ネット人口は活字人口より年齢も性
別もおそらく社会階層にも偏りがあり、そこでバッシングを受けたからと言って(あ
たしだって受けてます(笑))めげる必要なんてありません。
こういうまっとうな意見にバッシングが来るご時世がほんとにいやですね。こういう
記事を載せるのが、今や一部の良識的なメディアばかり(読売、サンケイは載せてく
れないでしょう)というメディア事情も困りもの。
香山リカが、サッカー、ワールドカップの「ニッポン、チャ、チャ、チャ」を「ぷち
ナショナリズムな風景」と呼びましたが、ポスト構造主義のアイデンティティ理論か
ら言えば、パフォーマンスこそがアイデンティティをつくる。「ぷちナショ」どころ
か、これを正真正銘の「ナショナリズム」と呼ぶのです。異端者を許さない強い同調
圧力と排他主義、これこそがナショナリズムの特徴ですからねえ。「WBCって何?」
とTVを見ないわたしが口にできないような状況がありますからね。
野球の本拠地アメリカで、アメリカに勝ったキューバ(北朝鮮とならんで「最後の秘
境」のひとつ)に勝って世界一になった、というところに、もしかして太平洋戦争の
仇討ちをしたような気分になっているのかしらん?しかも衰退気味の日本野球をもり
立てたのが、台湾出身の監督だというポストコロニアル状況には目をつむって。そう
いえば衰退国技をもり立てているのも、外国人力士ばかりですが。
TVを見ないにしてはよく知っているでしょう?(笑)
つい長くなりましたが、感想まで。
                     上野
-----------------------------------------------------

「異端者を許さない強い同調圧力と排他主義、
これこそがナショナリズムの特徴ですから・・・・」
異端であること、がほとんど、わたしであること、
のように生きてきたわたしは、
上野さんのお返事を読んで、ほんとにそのとおりだと思った。

このエッセイが、ストンと心に落ちる人も多い。
(すくなくともわたしの周辺では)。
万人に共感されなくても、そう思わない人がいたとしても、
そういう人たちにメッセージがちゃんと届けば、いいじゃないか。
わたしはそう思う。

あらためて、星野さんのエッセイを読んだ。
とってもよい記事だと思う。

「新聞は社会の木鐸である」

わたしは星野智幸さんと中日新聞を支持します。
[PR]
朝から、ハートフルスクエアGで「む・しネット」スタッフ会。
5月13日の公開講座「勝てる選挙 市民派議員をふやそう」と、
7月8日(土)に浅野史郎さんを講師に招いての、
シンポジウム「政治を市民の手に!~ひとりからはじまる」の
準備から当日までの詳細を決めた(あらためて報告します)。
あとは、浅野さんから、基調講演「脱政党の時代に(仮)」と
パネルの「わたしたちに何ができるか」のOKをもらうだけ。
いそいでチラシを作って全国に情報発信して、
名古屋市女性会館大ホールの350人を
なんとか満員にしたいね、といいながら別れた。
10時半から6時半のながーいスタッフ会だったのですが、
なんとか具体的な形になってホッとしています。

という訳で、事務局のわたしはここ数日レジメづくりなどで、
バタバタしてたのですが・・・(と言いわけ)・・・・

お待たせしました。やっと3月25日の
「ジェンダー概念を話し合うシンポジウム」
の報告ができます。

このシンポは、「上野千鶴子さん講師拒否事件」をきっかけに
東京都への抗議文(賛同署名1808筆)を呼びかけた
研究者の皆さんが中心になって企画され、
港区のリーブラ(港区男女平等推進センター)で開催。

結論からいえば、
長丁場にもかかわらず、会場は参加者の熱気にあふれ、
「問題意識が共有できて、行ってよかった!」

25日は、4時半起床。5時過ぎに車で岐阜駅まで送ってもらい、
名古屋駅で三重県のまみさんと待ち合わせ。
6時40分の新幹線でいざ東京へ。
品川駅に早くつき過ぎたので、サザコーヒーで朝のお茶。
9時過ぎには会場に着いたのですが、整理券はすでに28番。
前日から泊まった岐阜県の友人の姿も。

「猫のシッポ」のわたしはチラシ配布と情報発信くらいで、
準備をなにも手伝えなかったので、
開会までちょこちょこっと、まみさんと裏方のお手伝い。

10時から、細谷実さんと赤石千衣子 さんの司会で開会。
江原由美子さんと井上輝子さんのお二人は、
研究者の立場から「ジェンダー概念」の基本的なお話し。
聴くだけでは難しい話も、豊富な資料が理解の手助けをしてくれます。

圧巻は、若桑みどりさんのパワーポイントを使っての
「バックラッシュの流れーなぜジェンダーは狙われるのか 」。

この方のことばには、ちから(説得力)があります。
1月27日に、抗議文を渡した後の記者会見でも
「上野さんを孤立させないために行動を起こしました」という
若桑さんのことばに感動しました。
たった20分で、今わたしたちが経験してるバックラッシュを
歴史家の立場から、豊富な資料とともに検証し、
政治的背景とともに、見える形にしてくださいました。
この話しだけでも、東京まで来たかいがありました。

並んで座っていた「む・しネット」スタッフの3人と、
「若桑さんを名古屋に招いて、もっとじっくり聞きたいね」。

1月27日の「抗議レポート」はこちらから。

つづいて、匿名の教員のおふたりから、
「ジェンダー・フリー」教育の現場からの報告。
昼食をはさんで、
国分寺市民で今回の発端の事件の関係者でもある、
丹羽雅代さんから「市民と行政と学界のはざまで」。
現場からの報告は、さすが迫力があります。

最後の、加藤秀一さんは
「ことばは生きている~よりよき相互理解のために」。
このテーマでどんなふうにまとめるのか興味津々でしたが、
ジェンダー概念」などそれまでの話を交えて、
やさしいことばで、すっきりと整理して話されました。 

ここまでが予定されたパネル。
この後からが、シンポの目玉の全体討議、
いわゆるフリーディスカッションです。

会場からの発言は、2時から5時半まで、
ジェンダー概念から、ジェンダーフリー教育、
婚外子差別の問題提起など多様な意見がありました。
やむにやまれぬ思いの現場の当事者や市民、
研究者、教員から、と途切れることなく続きました。

満席の会場は、熱気あふれるもので、わたしの知っている
東海3県からはもちろん、福島、大阪、岡山からの参加者もあり、
バックラッシュを「なんとかしたい」という思いの強さを
はだで感じながら、濃密な時間をすごしました。

発言をすべて紹介できるとよいのですが、
長くなるのと個人情報との関係もありますので、
シンポが「本になる予定」とアナウンスがありましたので、
参加した人も、しなかった人も、ぜひ「買って」お読みください。

ところで、会場では何人かの参加者から、
「上野さんは来てみえないの」と尋ねられましたが、
ディスカッションの最後のほうで、シンポ事務局から、
上野さんからのメッセージが読みあげられました。

上野さんからのメッセージ________________

東京都のみなさんへ

 上野の講演を聞いてみませんか? 都の主催または共催の事業に上野
を講師に呼んでください。テーマは「男女平等社会をつくる」。企画が
実っても、実らなくても、経過をすべて情報公開しましょう。
ご相談したい方は上野までeメールで。
(ueno@l.u-tokyo.ac.jp)
_______________________________________________________________

うわっおもしろい展開になりそう。
東京都民でないのが、残念(笑)。

「東京都に抗議する!」はこちらから。

「上野さん講師拒否事件」への憤りは、
わたしにとっても、他人事とは思えないはげしいものでした。
その怒りと、問題意識をきっかけに、さまざまな思いを
ひとつのかたちとして結集させたシンポジウムの成功は、
地方の現場にいるわたしにとっても大きなものです。
このシンポで受け取ったエネルギーをちからに、
わたしが立っている足元からバックラッシュを跳ね返したいですね。

短期間で、このシンポジウムを企画し、
実現させてくださった実行委員のみなさん、
パネラーのみなさん、ご苦労様でした。
そして、
心に残るよいシンポジウムをありがとうございます。

最近起きた関連の出来事「てらまち・ねっと」へ。

日曜日の朝日新聞「読書」欄に掲載された上野千鶴子さんの最新刊
『生き延びるための思想 ジェンダー平等の罠』(岩波書店/2006)
の書評も紹介します。

 ------------------------------------------------------------
        生き延びるための思想 ジェンダー平等の罠/上野千鶴子著

 ひとつの偽造メールで大混乱をきたした先日の国会だが、ひとつの重要な概念「ジェンダー」(性差)をめぐる保守派の曲解と事実の捏造(ねつぞう)については、何ら問い直さぬままだ。フェミニズムの抑圧の風は、ますます強まろうとしているかのように見える。
 そんな状況下、論争の達人・上野千鶴子は、湾岸戦争以後の過程で思索した「女性兵士」の投げかける様々な問題を皮切りに、ナショナリズムがいかにヒロイズムによって個人を切り捨てる「死ぬための思想」であったか、いっぽう フェミニズムがあくまでも戦争にもテロにも加担せず、民主主義の罠を回避しようと試みる「生き延びるための思想」であるかを、力強く説く。
 独自の理論から概念定義をめぐる論争、今日の国家と性差を考えるための必読書の紹介、自己解題を兼ねた末尾のインタビューまで、著者が新しい思想たりうる「 新しい言葉」を希求する姿勢は、読者に深い感動を与えてやまない。
 巽孝之(慶応大教授)
(2006/3/26朝日新聞・読書 )
------------------------------------------------------------

PS:
あすは、ハートフルGで「プロジェクトb」の
『老いる準備 介護することされること』
(上野千鶴子著/学陽書房/2005)の読書会。
4月からはじめて、今回で最終回を迎える。

あたらしいテーマ本は、もう決まった。
『生き延びるための思想 ジェンダー平等の罠』
(上野千鶴子著/岩波書店/2006)。
『生き延びるための思想 ジェンダー平等の罠』(2/11記事)
いままでは、メンバー限定でつづけてきたけれど、
4月からは「む・しネット」の自主企画として、
6年目の「読書会」をスタートする。
いっしょに読みたい方は、ご連絡ください。

[PR]
# by midori-net | 2006-03-26 04:34 | 活動
「上野千鶴子さん講師拒否事件」の続報です。

東京都の「人権意識を考える市民集会」実行委員会あてに、
国分寺市教育委員会から回答が届きましたので紹介します。
「人権意識を考える市民集会実行委員会」の公開質問状については、
以下の記事をご覧ください。
「上野千鶴子さん講師拒否事件」の続報/国分寺市の関連(2.16記事)


                       国教教生発第48号
                       平成18年3月2日

          東京都の人権意識を考える市民集会
                   実行委員会 殿
                       国分寺市教育委員会教育
                       生涯学習推進課長 熊谷 淳

              公開質問状について(回答)

 平成18年2月9日付,国教教庶収第532号文書,市長,教育長宛の公開質問状につい
て,下記の通り回答します。
                    記

1 要綱に沿って作成しました。

2 国分寺市教育委員会は,東京都教育委員会と実施計画書の内容について協議しま
したが,東京都教育委員会の意向からモデル事業の再委託を受けることは困難と判断
し,本事業を実施しないこととしました。

3 上記2で述べたとおり,実施計画書の内容についての協議であります。また,準
備会と協議が尽くせなかったことについては,遺憾に思います。

4 国分寺市教育委員会は,市民の知る権利,並びに人権を今後も尊重してまいりま
す。

詳細は「東京都に抗議する!」から


ところで、3月17日に、沖縄県金武町の
キャンプハンセン米軍基地の入会権(軍用地料)を
女性には認めないという女性差別の会則(慣習)をめぐって、
当事者女性26人が「憲法14条違反」として提訴していた、
注目の「杣山(そまやま)訴訟」の最高裁判決がでました。

わたしは一昨年、沖縄県女性センター「てぃるる」に招かれた時、
「人権を考えるウナイの会」の原告代表の仲間美智子さんにお会いして、
直接お話をきいたので、この訴訟には注目していました。

一審は「原告勝訴」、二審の福岡高裁は「逆転敗訴」でした。
最高裁で弁論が開かれると関係者から聞いていましたので、
なんらかの形で高裁判決が見直される、と思っていました。

最高裁判決は「原判決を一部破棄差し戻し、一部棄却」

一部審理差し戻し 金武区「杣山訴訟」(3.17琉球新報)

以下に「判決文」を紹介します。

判例 平成18年03月17日 第二小法廷判決 平成16年(受)第1968号 地位確認等請求事件
要旨:
 1 入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち入会権者の資格要件を一家の代表者としての世帯主に限定する部分と民法90条
2 入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち入会権者の資格を原則として男子孫に限定し同入会部落の部落民以外の男性と婚姻した女子孫は離婚して旧姓に復しない限り入
会権者の資格を認めないとする部分と民法90条

内容:  件名 地位確認等請求事件 (最高裁判所 平成16年(受)第1968号 平成18年03月17日 第二小法廷判決 一部破棄差戻し,一部棄却)
 原審 福岡高等裁判所那覇支部 (平成16年(ネ)第16号)

主    文
1 原判決のうち上告人X1及び同X2に関する部分を破棄し,同部分につき,本件を福岡高等裁判所に差し戻す。
2 その余の上告人らの上告を棄却する。
3 前項に関する上告費用は,前項記載の上告人らの負担とする。
         
理    由
 上告代理人宮國英男ほかの上告受理申立て理由第4の2及び同3について
 1 原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
 (1) 沖縄県のA村(現在のA町及びB村)A部落(現在のA区)の住民らは,古来,「杣山」と呼称される林野(以下「本件入会地」という。)に入って薪を採取したり,材木を伐採するなどしていた。
 本件入会地は,明治32年公布の沖縄県土地整理法によりいったん官有地とされたが,明治39年,当時のA部落の住民(以下「A部落民」という。)らに対し,30年間の年賦償還で払い下げられた(以下,この払下げを「本件払下げ」という。)。本件払下げに係る代金は,A部落の村頭(区長)が,昭和8年まで正規のA部落民である各戸主から賦課徴収して支払った。その後,本件入会地の一部は昭和12年ころにA村の公有財産(昭和57年以降はA町の公有財産)に編入され,残りの土地は部落代表者の個人名で登記された(以下,本件入会地のうち公有財産とされた部分を「公有地部分」といい,部落代表者の個人名で登記された部分を「部落有地」という。)。
 (2) 入会集団であるA部落(以下,「A部落」とは入会集団としてのA部落をいい,「A部落民」とは入会集団としてのA部落の構成員をいう。)は,本件払下げ後,A部落の旧来の慣習及び規則に基づいて本件入会地の管理を行い,昭和12年ころ以降,公有地部分については,A村と締結した協定等に基づいて管理を行ってきた。
 そして,明治40年から昭和20年までの間にA部落の地区外から地区内に移住してきた者については,各戸につき木草賃として毎年50銭をA区事務所に納入することにより本件入会地の木草の採取が認められ,また,各戸につき20円を納付するなどすればA部落民の資格を取得することができた。
 (3) 昭和31年9月16日,本件入会地の入会権者から成る団体としてA共有権者会(昭和61年に名称をA入会権者会に変更)が設立され,以後,本件入会地のうち部落有地については,同団体の名で管理が行われてきた。また,公有地部分については,昭和57年7月12日,「旧慣によるA町公有財産の管理等に関する条例」(昭和57年A町条例第1号)の制定に対応してA部落民会(被上告人の前身。以下「A部落民会」という。)が設立され,同条例に規制される形で,A部落民会の名で管理が行われてきた。しかし,部落有地を管理するA入会権者会と公有地部分を管理するA部落民会とは実態が同一であったことから,平成12年5月19日,両会が合併して被上告人が設立された。
 (4) 本件入会地の入会権の得喪についてのA部落における慣習(以下「本件慣習」という。)は,次のようなものであり,被上告人は,本件慣習に従って入会権者とされる者を会員としている。なお,A共有権者会,A入会権者会及び被上告人の会則は,おおむね本件慣習に基づいて定められていたが,A部落民会の会則は,本件慣習とは異なり,会員資格を男子孫に限定していなかった。
 ア 本件払下げを受けた当時,A部落民として世帯を構成していた一家の代表者は,いずれも本件入会地につき入会権を有する。
 イ 明治40年から昭和20年3月までの間にA部落の地区外から地区内に移住してきた一家の代表者であって,一定の金員を納めるなどしてA部落民の資格を認められた者も,本件入会地につき入会権を有する。
 ウ 入会権者たる資格は,一家(1世帯)につき代表者1名のみに認められる。そして,一家の代表者として認められるためには,単に住民票に世帯主として記載されているだけでは足りず,現実にも独立した世帯を構えて生計を維持していることを要する。
 エ 入会権者の死亡や家督相続によって一家の代表者が交替した場合には,新たな代表者が後継者として入会権者の資格を承継する。入会権者の資格を承継する代表者は,原則として男子孫に限られるが,男子孫の後継者がいない場合や幼少の場合には,例外的に旧代表者の妻が資格を取得することもあり(ただし,幼少の男子孫が成長して入会権者の資格を取得すれば,妻は資格を失う。),また,旧代表者が死亡し男子孫がない場合には,女子孫が入会権者の資格を承継することも認められるが,入会権者として認められるのは当該女子孫1代限りである。
 オ 男子孫が分家し,A区内に独立の世帯を構えるに至った場合は,その世帯主からの届出により,入会権者の資格を取得する。独身の女子孫については,50歳を超えて独立した生計を営み,A区内に居住しているなど一定の要件を満たす場合に限り,特例として,1代限りで入会権者の資格を認められる。なお,A部落民以外の男性と婚姻した女子孫は,離婚して旧姓に復しない限り,配偶者が死亡するなどしてA区内で独立の世帯を構えるに至ったとしても,入会権者の資格を取得することはできない。
 (5) 被上告人と同様に杣山について入会権を有する他の入会団体の中には,近年会則を変更するなどして,世帯主である限り,男子孫と女子孫とで差異を設けない取扱いをするようになった団体もある。
 (6) 被上告人においては,本件慣習に基づいた会則(Y会則)を有しており,新たに入会する者については,届出又は申出に基づき役員会の議を経ることを要することとし,入会資格の審査が行われてきた。そして,入会の申請者には戸籍謄本,住民票等の提出を義務づけ,これに基づいて審査を行うが,単に書類上世帯主として記載されているだけでは足りず,現実にも独立して生計を営んでいることが必要とされるため,審査に当たっては必要に応じて生活実態の調査等も行われてきた。
 (7) 上告人ら(なお,上告人X3は,当審係属中の平成16年11月28日死亡し,その夫と子3名がその地位を承継した。以下においては,亡X3を含めて「上告人ら」ということがある。)は,いずれも,本件払下げ当時のA部落民であって本件入会地について入会権を有していた者の女子孫であり,遅くとも平成4年以降現在に至るまでA区内に住所を有し居住している。上告人X1及び同X2(以下「上告人X1ら」という。)は,いずれも,A部落民以外の男性と婚姻したが,その後夫が死亡したことにより,現在は戸籍筆頭者として記載され,世帯主として独立の生計を構えるに至っている。上告人X4らその余の上告人(以下「上告人X4ら」という。)は,いずれも,戸籍筆頭者ではない。
 (8) 本件入会地は,第2次世界大戦後,国が賃借した上でアメリカ合衆国の軍隊(以下「駐留軍」という。)の用に供するために使用され,その賃料は,被上告人により収受・管理され,その一部が入会権者である被上告人の構成員らに対し,補償金として分配されている。
 2 本件は,上告人らが,被上告人に対し,本件慣習(本件慣習に基づいて定められた被上告人の会則を含む。以下同じ。)のうち入会権者の資格を世帯主及び男子孫に限り,A部落民以外の男性と婚姻した女子孫は離婚して旧姓に復しない限り資格を認めないとする部分が公序良俗に反して無効であるなどと主張して,上告人ら(ただし,上告人亡X3関係を除く。)が被上告人の正会員であることの確認を求めるとともに,平成4年度から平成14年度までの補償金として各306万円の支払(ただし,上告人亡X3訴訟承継人X5については153万円の,同X6,同X7及び同X8については各51万円の,上告人X9については,平成13年度及び平成14年度の補償金として120万円の各支払)を求めるものである。
 3 原審は,前記事実関係の下で,次のとおり判断し,上告人らの請求をいずれも棄却した。
 (1) 被上告人は,本件入会地の入会権者らを構成員とする入会団体であるから,上告人らが被上告人の構成員の地位を有するというためには,上告人らが本件入会地の入会権を取得したことが認められる必要がある。そして,入会権については各地方の慣習に従うとされているから,上告人らが入会団体である被上告人の構成員の地位を有するというためには,上告人らが当該地方(A部落)の慣習,すなわち本件慣習に基づいて本件入会地の入会権者の資格を取得したことが認められなければならない。なお,本件入会地は,第2次世界大戦後は駐留軍の用に供するために使用されていて,現在は個々の入会権者が直接入会地に立ち入ってその産物を収得するといった形態での利用が行われているわけではないけれども,入会権に基づく入会地の利用形態には様々なものがあり,入会団体が第三者との間で入会地について賃貸借契約等を締結してその対価を徴収したとしても,その収入は入会権者の総有に帰属するのであって,入会権が消滅するわけでも,入会権の内容や入会団体としての性質が変容するものでもない。
 (2) 本件慣習のうち,本件入会地の入会権者の資格要件を一家の代表者としての世帯主に限定する部分(以下,この資格要件を「世帯主要件」という。)は,入会権の本質に合致するものであって,公序良俗に反して無効とはいえない。
 上告人X4らは,家の代表者としての世帯主であることの主張立証がなく,本件入会地の入会権を取得したものとはいえない。
 (3) 本件慣習のうち,入会権者の資格を原則として男子孫に限り,A部落民以外の男性と婚姻した女子孫は離婚して旧姓に復しない限り入会権者の資格を認めないとする部分(以下,この資格要件を「男子孫要件」という。)も,それなりの合理性があり,公序良俗に反して無効とはいえない。もっとも,男子孫と女子孫とで取扱いに差異を設ける必要性ないし合理性は特に見当たらないし,被上告人と同様に杣山について入会権を有する他の入会団体の中には,近年会則を変更するなどして,世帯主である限り,男子孫と女子孫とで差異を設けない取扱いをするようになった団体もあることが認められる。しかし,入会権は,過去の長年月にわたって形成された地方の慣習に根ざした権利であるから,そのような慣習がその内容を徐々に変化させつつもなお存続しているときは,これを最大限尊重すべきであって,その慣習に必要性ないし合理性が見当たらないということから直ちに公序良俗に反して無効ということはできない。そして,入会権が家の代表ないし世帯主としての部落民に帰属する権利であって,当該入会権者からその後継者に承継されてきたという歴史的沿革を有すること,歴史的社会的にみて,家の代表ないし跡取りと目されてきたのは多くの場合男子,特に長男であって,現代においても,長男が生存している場合に二男以下又は女子が後継者となったり,婚姻等により独立の世帯を構えた場合に女子が家の代表ないし世帯主となるのは比較的まれな事態であることは公知の事実といえること,被上告人以外の入会団体の中にも会員資格を原則として男子孫に限定する取扱いをしているところが少なからず存在することなどに照らせば,家の代表ないし世帯主として入会権者の資格要件を定めるに際し男子と女子とで同一の取扱いをすべきことが現代社会における公序を形成しているとまでは認められない。これに加え,男子と女子とで入会権者の資格が認められる要件に差異があることにより1世帯の内部において男子と女子の間で生じ得る不平等については,相続の際の遺産分割協議その他の場面で財産的調整を図ることも可能であることをも併せ考慮すれば,本件慣習のうち男子孫要件が公序良俗に違反するとまで認めることはできない。
 そうすると,上告人X1らは,A部落民以外の男性と婚姻した後に配偶者の死亡により世帯主として独立の生計を構えるに至ったものであるから,本件入会地の入会権を取得したとはいえない。
 4 しかしながら,原審の上記(1),(2)の判断は是認することができるが,(3)の判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
 (1) 前記事実関係によれば,被上告人は,本件入会地の入会権者で組織され,本件入会地の管理・処分を行うこと等を目的とする入会団体(権利能力なき社団)であると認められる。また,本件入会地は,戦後,国が賃借した上で駐留軍の用に供するために使用されているが,その賃料は,入会団体である被上告人により管理されているというのであるから,本件入会地について,いまだ入会権が消滅したものともその性質を変容したものともいうことはできない。そうすると,上告人らは,被上告人の会員の地位を有するというためには,本件入会地について入会権者の地位を有すること,すなわち,本件慣習に基づいて本件入会地についての入会権者の地位を取得したことを主張立証しなければならないというべきである(最高裁昭和35年 (オ) 第1244号同37年11月2日第二小法廷判決・裁判集民事63号23頁参照)。
 そして,本件慣習によれば,上告人らが被上告人の会員の地位を取得したというためには,原則として,①上告人らが本件払下げ当時のA部落民又は明治40年から昭和20年までの間に一定の要件を満たしてA部落民と認められた者の男子孫であり,現在A区内に住所を有し居住していること,②上告人らがA区内に住所を有する一家の世帯主(代表者)であり,被上告人に対する届出等によってその役員会の議を経て入会したことという要件を満たす必要があるということになる。
 (2) ところで,入会権は,一般に,一定の地域の住民が一定の山林原野等において共同して雑草,まぐさ,薪炭用雑木等の採取をする慣習上の権利であり(民法263条,294条),この権利は,権利者である入会部落の構成員全員の総有に属し,個々の構成員は,共有におけるような持分権を有するものではなく(最高裁昭和34年 (オ) 第650号同41年11月25日第二小法廷判決・民集20巻9号1921頁,最高裁平成3年 (オ) 第1724号同6年5月31日第三小法廷判決・民集48巻4号1065頁参照),入会権そのものの管理処分については入会部落の一員として参与し得る資格を有するのみである(最高裁昭和51年 (オ) 第424号同57年7月1日第一小法廷判決・民集36巻6号891頁参照)。他方,入会権の内容である使用収益を行う権能は,入会部落内で定められた規律に従わなければならないという拘束を受けるものの,構成員各自が単独で行使することができる(前掲第一小法廷判決参照)。このような入会権の内容,性質等や,原審も説示するとおり,本件入会地の入会権が家の代表ないし世帯主としての部落民に帰属する権利として当該入会権者からその後継者に承継されてきたという歴史的沿革を有するものであることなどにかんがみると,各世帯の構成員の人数にかかわらず各世帯の代表者にのみ入会権者の地位を認めるという慣習は,入会団体の団体としての統制の維持という点からも,入会権行使における各世帯間の平等という点からも,不合理ということはできず,現在においても,本件慣習のうち,世帯主要件を公序良俗に反するものということはできない。
 しかしながら,本件慣習のうち,男子孫要件は,専ら女子であることのみを理由として女子を男子と差別したものというべきであり,遅くとも本件で補償金の請求がされている平成4年以降においては,性別のみによる不合理な差別として民法90条の規定により無効であると解するのが相当である。その理由は,次のとおりである。
 男子孫要件は,世帯主要件とは異なり,入会団体の団体としての統制の維持という点からも,入会権の行使における各世帯間の平等という点からも,何ら合理性を有しない。このことは,A部落民会の会則においては,会員資格は男子孫に限定されていなかったことや,被上告人と同様に杣山について入会権を有する他の入会団体では会員資格を男子孫に限定していないものもあることからも明らかである。被上告人においては,上記1(4)エ,オのとおり,女子の入会権者の資格について一定の配慮をしているが,これによって男子孫要件による女子孫に対する差別が合理性を有するものになったということはできない。そして,男女の本質的平等を定める日本国憲法の基本的理念に照らし,入会権を別異に取り扱うべき合理的理由を見いだすことはできないから,原審が上記3(3)において説示する本件入会地の入会権の歴史的沿革等の事情を考慮しても,男子孫要件による女子孫に対する差別を正当化することはできない。
 (3) 上告人X4らについては,前記のとおり世帯主要件は有効と解すべきであり,家の代表者としての世帯主であることの主張立証がないというのであるから,本件入会地の入会権者の資格を取得したものとは認められず,上告人X4らが被上告人の会員であることを否定した原判決は,正当として是認することができる。この点についての論旨は,採用することができない。
 他方,上告人X1らは,A部落民以外の男性と婚姻した後に配偶者の死亡により世帯主として独立の生計を構えるに至ったものであるというのであるから,現時点においては,世帯主要件を満たしていることが明らかである。もっとも,上告人X1らが,被上告人の会則に従った入会の手続を執ったことについては,その主張立証がないけれども,男子孫要件を有する本件慣習が存在し,被上告人がその有効性を主張している状況の下では,女子孫が入会の手続を執ってもそれが認められることは期待できないから,被上告人が,上告人X1らについて,入会の手続を執っていないことを理由にその会員の地位を否定することは信義則上許されないというべきである。したがって,男子孫要件を有効と解して上告人X1らが被上告人の会員であることを否定した原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。この点をいう論旨は,理由があり,原判決のうち上告人X1らに関する部分は破棄を免れない。そして,以上の見解の下に上告人X1らの請求の当否について更に審理を尽くさせるため,上記部分につき,本件を原審に差し戻すのが相当である。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官滝井繁男,同古田佑紀の各補足意見がある。
・・・・・・・・・・・・(以下省略)・・・・・・・・・・・・・・・
 (裁判長裁判官 津野 修 裁判官 滝井繁男 裁判官 今井 功 裁判官 中川了滋 裁判官 古田佑紀)


 なお、判決文はブログの制限字数1万字をこえますので、
省略した二人の裁判官の「補足意見」については、
最近の主な最高裁判決(最高裁HP)をご覧ください。           
[PR]
『む・しの音通信』No.53を発行しました。
今月の通信は、12ページ。
「みどりのwebページ」にも
アップしましたので、ご覧ください。

表紙には
【「む・しネット」2006年度企画】を掲載。

5月13日(土)午後には、「ウィルあいち」で、
「勝てる選挙~市民派議員を増やそう!」
7月8日(土)午後には、
名古屋市女性会館ホールで、
シンポジウム「政治を市民の手に!」
を開催します。
シンポジウムの基調講演(90分)は、
浅野史郎さん(前宮城県知事)です。
浅野さんからOKのお返事が届いたときは、
講師依頼を担当してくれたつれあいと、
「ヤッター!」とさけびましたよ(笑)。
7月まで、また忙しくなりそうです。

1年目の「M&T企画/自主講座」を終えて、
折り返し点の、「M&Tの本音トーク」もあります。

2006年度も、5連続講座で、
「スキルアップ編」を企画しています。
参加を希望されるひとは、webページの要件を読んで、
早めに申し込んでください。
[PR]
「上野千鶴子さん講師拒否事件」に対し、
1月27日の抗議文(1808人の賛同署名)を呼びかけた
研究者の皆さんが中心になって企画された、
「ジェンダー概念について話し合うシンポジウム」が、
3月25日に開催されます。
以下に開催趣意文と、日程、内容などを紹介します。

「東京都に抗議する!」はこちらから。

------------------------------------------------------------
          2006年3月25日開催
      「ジェンダー概念」シンポジウム実行委員会主催
      イメージ&ジェンダー研究会*日本女性学会共催
      「ジェンダー概念について話し合うシンポジウム」
             についてのお知らせ

 開催趣意

 委嘱希望講師として上野千鶴子さんが挙げられていた、市民参画で企画していた国分寺市の人権講座が、「『ジェンダー・フリー』の言葉や概念に触れる可能性があ」るという理由で、委託元である東京都教育庁によって難色を示されました(昨夏)。それをうけ、国分寺市は、準備会の計画通りの内容で正式に東京都に提出して欲しいという市民側の希望を聞き入れず、受託を取り下げることにより講座じたいを中止しました。
 これまで、男女混合名簿についての通達、性教育に対する一部都議に煽られての介入、「君が代」斉唱をめぐる教員処分など全国でも突出して強権的支配を教育に対して行ってきた東京都の教育行政が、生涯教育の分野でも同様な暴挙に出たわけです。
 これに対してジェンダー研究者を中心に、約2000人の署名とともに都に対する抗議運動を起こしました。今回のことは、国分寺市、東京都のことがきっかけではありますが、それだけにとどまらない、性差別撤廃を目指す研究や運動に対する一連のバックラッシユに対する広汎な市民を含む対抗運動であると把握しています。
 この暴挙に抗議する運動を進める中で、「これまで、ジェンダー概念についての意見交流が、市民、研究者、行政、メディア相互の間で不十分ではなかったか?」という反省が出され、遅ればせながら今回のシンポジウムを企画することとなりました。
 1970年前後からのフェミニズムの活性化に影響された女性学の中心概念である「ジェンダー」は、豊かな広がりと生産性を有したものであったし、今後もそうでしょう。それだけに、いろいろな含意や用法が重層的に存在しています。しかも、90年代になってからジュディス・バトラーらの理論が出て、議論はいよいよ錯綜して、一般の理解も多様になって来ました。
 それらの多様性を「混乱」と称して保守側は初等中等教育の場に介入し、さらに、生涯教育や、大学における「ジェンダー」研究・教育にも干渉しようとしています。そうした悪意や敵意に基づく批判はともかく、「ジェンダー」概念をめぐる多様な見方や意見に耳を傾け交流しあうことが、現在、男女平等・男女共同参画社会の進展には必要と思われます。
 今回のシンポジウムでは、学界での「ジェンダー」概念についての整理を研究者がおこない、「ジェンダー・フリー」についての教育学および現場の教育者の理解や実践上の問題、市民およびシャーナリズムでの「ジェンダー」の受け取り方について、ともに語りあうために、研究者、教育者、市民にそれぞれの問題提起をしていただきます。以上で約2時間余、後は、たっぷりと時間をとって参加者全員で意見交換をしていきたいと考えています。
 なおこのシンポジウムにはメデイアのみならず政治家、行政からの参加も歓迎します。
          ジェンダー概念シンポジウム実行委員会
           2006年2月18日


                   「ジェンダー概念」シンポジウム実行委員会
          イメージ&ジェンダー研究会*日本女性学会共催
         「ジェンダー」概念を話し合うシンポジウム

 日時 2006年3月25日(土) 午前10時~午後5時

会場 港区男女平等推進センター りーぶら ホール(JR田町東口徒歩4分)

事前申し込みは不要です/資料代 一人1000円 必ず受付を済ましてください。
その際ご住所とお名前を書いていただきます。
会場は200席なので、当日先着順で定員を超えた場合には締め切らせていただきます。
昼食はご持参されたほうがいいかもしれません。

          プログラム

司会  細谷実 赤石千衣子
・開会挨拶 米田佐代子 10:00- 10:05
・趣旨説明 細谷実  10:05- 10:15

パネル

[1] 「ジェンダー」概念の有効性について  江原由美子  10:15-35
[2] 「ジェンダー」「ジェンダー・フリー」の使い方、 使われ方
                     井上輝子   10:35-55
[3] バックラッシュの流れーなぜジェンダーは狙われるのか
                     若桑みどり  10:55-11:15
[4]「ジェンダー・フリー」教育の現場から      11:15-11:35

----------------------------ランチ休憩  85分

[5]  市民と行政と学界のはざまで 丹羽雅代       13:00-13:20
[6]  ことばは生きている あるいは よりよき相互理解のために 
                 加藤秀一      13:20-13:40     

--------------------------------ブレーク  20分

            全体討議           14:00-16:50

閉会の挨拶    金井淑子
         (3.25ジェンダーシンポジウム事務局)
------------------------------------------------------------


7時間におよぶ内容が濃くて、
多様な視点から、ジェンダーを論じるシンポジウムです。

わたしも何とか都合をつけて参加したいと思っています。
お近くの方は、ぜひご参加ください。
[PR]
# by midori-net | 2006-02-22 19:32 | お知らせ
「上野千鶴子さん講師拒否事件」の続報です。

国分寺市から、上野千鶴子さんの質問に対する回答が届きました。
以下に全文を掲載します。
------------------------------------------------------------
                        国教教生発第47号
                        平成18年2月13日
上野 千鶴子 様
                       国分寺市教育委員会教育部
                       生涯学習推進課長  熊谷 淳

            公開質問状について(回答)

 平成18年1月13日付,国教教庶収第484号文書,及び平成18年2月7日付,
国教教庶収第522号文書,市長,教育委員長,教育長,生涯学習推進課長
宛の2件の公開質問状について,下記のとおり回答します。

   記

(1)国分寺市教育委員会は,東京都教育委員会と実施計画書の内容に
ついて協議しましたが,東京都教育委員会の意向からモデル事業の
再委託を受けることは困難と判断し,本事業を実施しないこととし
ました。
   なお,地方教育行政の組織及び運営に関する法律第17条により,
  国分寺市教育委員会の権限に属するすべての事務を教育長がつかさ
  どっています。
   したがいまして,責任者は国分寺市教育委員会教育長です。

(2)国分寺市教育委員会は,不適切であるとの判断はしておりません。
------------------------------------------------------------

上野さんの人権講座を実質的に企画していたのは
国分寺市の実行委員会の市民のみなさんです。
上野さんの抗議文、公開質問状の経過をお知らせして来ましたが、
現場の当事者である市民の皆さんが出していた、
12月15日付の「公開質問状」の経過についても報告します。

この質問状に対して、
都教育庁から、2月7日付けの以下の回答が届きました。

-----------------------------------------------------------
17教生社第636号
平成18年2月7日

「東京都の人権意識を考える市民集会」実行委員会様

             東京都教育庁生涯学習スポーツ部社会教育課長
                            船 倉 正 実

             公開質問状について

 平成17年12月15日に公開質問状をいただきましたが、本件に関する事実経過は下記のとおりです。
                    記

 本事業は、東京都教育委員会の事業として国分寺市教育委員会に委託し、実施を計画していたものであり、東京都教育委員会は、同市が企画中の内容が「『ジェンダー・フリー』という用語の使用に関する東京都教育委員会の見解」を踏まえたものであるかどうかについて問い合わせたものです。
 東京都教育委員会は、国分寺市教育委員会が都の委託事業であることを考慮し実施しないこととしたものと理解しています。
----------------------------------------------------

この東京都教育庁の回答は、
上野さんへの回答と、まったく同じ文章です。

東京都教育庁が回答「公開質問状について」(2.9記事より)

質問の内容も趣旨も違うのに、まったくふざけていますね。
とりあえず、
うるさいから出したよ、というアリバイ証明でしょうか。
行政の説明責任を放棄しています。

国分寺市に対して、
「東京都の人権意識を考える市民集会」実行委員会は、
2月5日に、再度「公開質問状」を出しています。


------------------------------------------------------------
国分寺市 市長殿
国分寺市教育長殿

経緯
 平成17年度文部科学省委託事業「人権教育推進のための調査研究事業」の実施にあたり、平成17年3月国分寺市は委託先である東京都に実施計画書を提出しました。
 実施計画書の提出を受け、東京都と国は了解の意向を示し、国分寺市は実施に向けての準備に入りました。
 国分寺市は実施計画書にある「モデル事業の特色、工夫した点、期待される成果等」に記載したように、準備会方式を取り、広く市民を公募し、13名の市民が集まり準備に取り組んできました。「人権教育」というテーマに沿って準備会では、多様な議論の結果、人権に関する学習機会の充実方策として次のような事業計画を練り上げました。

 メインテーマ 「当事者主権」
 障害者、高齢者、子ども、海外支援などの問題を取り上げ、講座や講演会、映画上映、ワークショップなどを開催する。

 しかし、準備会参加者は、東京都は当計画の中に講演予定者として上野千鶴子さん(東京大学社会学部大学院教授)が上がっている事を知り、「上野さんは講師としてふさわしくない。講師を変えないと委託できない」と伝えられました。今回の事業は「当事者主権」を学ぶ講座であり、東京都が「ジェンダーフリー」の用語使用を理由として、上野さんが講師としてふさわしくないとしたことは理解出来ません。準備会参加者は、講師変更要求は不当で、到低納得の行くものではなく、変更する根拠がない旨を国分寺市に伝え、準備会の計画通りの内容で正式に東京都に提出して欲しいとお願いし、公民館の理解を頂きました。また、その後、国分寺市が突然、生涯学習推進課長名で取り下げの事務手続きを取り、委託契約を断念し、事業の実施は出来なくなりました。
  国分寺市の取った行動に対し説明を求めます。

                     公開質問状
1.事業計画案は要綱に沿って作成したが、逸脱があったと考えるか。
2.2005年12月15日東京都の人権意識を考える市民集会実行委員のメンバーが都庁で都に対し、抗議文並びに公開質問状を提出し面談した際、都は「東京都は8月1日に国分寺市に赴き、生涯学習推進課長、公民館館長並びに担当職員と会い、「ジェンダーフリー」に関する都の見解を示し、これに触れる事業になる懸念はないか?国分寺市の判断を尋ね、国分寺市は持ち帰った。その後何の連絡もなく、取り下げの事務連絡が来たと言っている」がそのような事実はあったのか。
3.8月17日付 生涯学習推進課長名で東京都への事務連絡の中で、「両者協議の上」とあるが東京都と国分寺市はどのような協議をしたのか。又、準備会に何の連絡もなく取り下げの手続きをとったことに対してどの様に考えるか。
4.この経過の中で、市民の知る権利、並びに人権は、損われたという認識はあるか。
 上記の質問に関しては、2月20日までに文書で回答し、お送り下さるようお願いいたします。

2006年2月5日
東京都の人権意識を考える市民集会実行委員会
-----------------------------------------------------------------------
国分寺市は上野さんに回答したのですから、
実行委員会にも回答が届くかもしれません。
今後の経緯を見守りましょう。

賛同書名に届いた意見(「東京都のに抗議する!」より)
[PR]
「上野千鶴子さん講師排除事件」の速報です。

この事件で「講師として不適切」となざしされた
当事者の上野千鶴子さんが、関係自治体へ公開質問状を
1月13日に送付していらっしゃいました。

上野千鶴子さんが東京都に公開質問状/毎日新聞(1/14付)

東京都・国分寺市への「公開質問状」(1/16付)

「回答期限は1月31日」とされていましたが、
現在まで、なんの応答もないようです。

この対応に対して、上野さんが関係自治体に
今日「督促状」を送付されました。
以下に、全文を紹介します。


------------------------------------------------------------
2006年2月7日

東京都知事殿
東京都教育長殿
東京都教育委員会委員長殿
東京都教育庁生涯学習スポーツ部社会教育課長殿
国分寺市市長殿
国分寺市教育長殿
国分寺市教育委員会委員長殿
国分寺市教育委員会生涯学習推進課長殿

 2006年2月6日の時点で、1月末日に期限を設定した1月13日付け公開質問状に対する回答をいただいておりません。この手紙は再度時限を切って、文書による回答を督促するものです。次回の期限は2月20日とします。
 この期間にメディアの報道等によって、新たな事実関係が確認されましたので、それにもとづいて、質問の内容を変更します。したがって回答は、この督促状の指摘にもとづいて返答してください。

 事実関係については、
1)計画取り消しの意志決定を行ったのは国分寺市であり、その責任者は国分寺市教育
委員会生涯学習推進課長、熊谷淳氏であること
2)その意志決定を迫ったのが東京都であり、その責任者は東京都教育庁生涯スポーツ部社会教育課長船倉正実氏、および担当者は人権学習担当係長森川一郎氏、主任社会
教育主事江上真一氏であることが判明しました。それぞれの行政の最高責任者である国分寺市長と、東京都知事の責任については言うまでもありません。

 国分寺市教育委員会生涯学習推進課長から東京都教育庁生涯スポーツ部社会教育課長に宛てた平成17年8月17日付け事務連絡(添付資料)によれば、国分寺市事業の取り下げについて、「両者協議の上」という文言があります。またメディアの取材に対して、以上の事実経過については、国分寺市、東京都ともに事実を認めており、それについては争いがありません。

 したがって、
1)国分寺市には、計画取り下げの意志決定を行った責任があり
2)とはいえ、東京都の「介入」もしくは「調整」がなければこの意志決定は行われなかったわけですから、東京都には、依然として上野を講師として「不適切」と判定した説明責任があります。
以上の2点について、経緯を明らかにし、根拠を示してください。

 メディアの報道によれば以下のことが判明しています。
①上野教授には、「当事者主権」をテーマに初回の基調講演を依頼しようとして同(05年)7月、市が都に講師料の相談をした。しかし都が難色を示し、事実上、講師の変更を迫られたという。(毎日新聞2006.1.10)
②東京都教育庁生涯学習スポーツ部は「上野さんは女性学の権威。講演で『ジェンダー・
フリー』の言葉や概念に触れる可能性があり、都の委託事業に認められない」と説明する。(毎日新聞2006.1.10)
③都教委は04年8月に決めた「『ジェンダーフリー』という用語を使用しない」とする見解を示し、「講座がその方針に反するなら実施できない」と念押しした。(朝日新聞2006.1.28)
④都教委社会教育課は「都が委託するモデル事業である以上、都の見解に反した事業は実施できないと伝えた。中止は市が判断したのであり、都としては拒否はしていない」と話している。(朝日新聞2006.1.28)
⑤市は「講座でジェンダーフリーという用語や、関連する内容が出る可能性が否定できない」として提案を取り下げたという。(朝日新聞2006.1.28)
⑥東京都教育庁は・・・「講座でこの用語が使われる可能性があるなら実施できない」との判断を、同市に示したため、同市が提案を取り下げていた。(朝日新聞2006.1.31)
⑦都教育庁は「ジェンダーフリーという言葉だけを問題にしたわけではない」と説明している。(朝日新聞2006.1.31)
⑧石原知事は同日(1.27)の定例会見で委託拒否について「都はそういう規制を加えたこ
とはない」と述べた。(毎日新聞2006.1.28)
⑨石原知事発言録(1.27記者会見)「彼らが具体的に提唱している幾つかの事案に関して
は、とても常識で言って許容できないものがたくさんあるから。やっぱりそういう例外的な事例が、余り露骨にメディアに持ち上げられて出てくると、ジェンダーフリーの、ある正当性を持ったムーブメントでもね、私はやっぱり非常に誤解を受けると思いますよ。」(朝日新聞2006.1.31)
⑩石原知事発言録(1.27記者会見)「『ジェンダー』とか『フリー』とか言ったって英語
のわからない人はさっぱり、おじいさん、おばさんはわからんよ、そんなものは。日本語でやってくれ、日本語で」(朝日新聞2006.1.31)

 ジャーナリストの方々がこの件をとりあげ、独自に取材をされて関係者の発言を引きだしてくださったことに感謝いたします。またこの件について、都政の最高責任者である石原知事が発言したことは重要です。以上の報道に都が抗議した経緯がないことから、報道の内容を都は事実として認めたことになります。それをもとに改めて検討すれば、事態はわたしが当初認識していたよりも深刻であることが判明しました。
それについて以下に再確認したうえで、関係者の説明を求めます。

1) 取り下げの意思決定は市が行っているが、都が「難色を示し」(上記資料①)「認め
られない」「実施できない」(②③④)とくり返し、事実上の「拒否」をしたことはあきらかである。
2) 国分寺市から東京都宛の取り下げ文書のなかにも「両者協議の上」とある以上、中止の意思決定への都の関与は明白である。
3) 都の判断の根拠は、「用語に触れる可能性がある」というものであったが、さらに加えて「ジェンダーフリーという用語や関連する内容」(⑤)という発言がある。たんなる用語統制に加えて、「関連する内容」を問題にするのは「思想統制」にあたる。また、どのような発言や考え方が「ジェンダーフリーに関連する内容」に当たるのか、またそれを誰がいかなる基準で判断するのか。用語の使用禁止以上に踏みこんだ発言であり、見過ごすことはできない。
4) さらに都は「ジェンダーフリーという言葉だけを問題にしたわけではない」(⑦)と
発言している。それなら何が問題なのか。明らかにすべき説明責任がある。
5) 石原知事は、委託拒否について「都はそういう規制を加えたことはない」(⑧)と発
言しているが、以上の証拠から「規制」があったことは事実であるから、発言を訂正し、事実経過を明らかにすべきである。また石原知事が「都はそういう規制を加えるべきでない」と考えているなら、独自の判断で市に「規制を加えた」担当課長および関係者に対し、厳重に注意してもらいたい。
6) 石原知事は、「ジェンダーフリー」に対する誤解が「例外的な事例にもとづくメディ
アの持ち上げ方」によると発言した。とすれば、2004年8月の都教委による「ジェンダーフリー」使用禁止の通達が、一部メディアの偏ったプロパガンダに影響されたものであることを認めたことになる。したがって「誤解」にもとづいて「ジェンダーフリーの、ある正当性を持ったムーブメント」を抑圧した責任がある。(⑨)
7) 石原知事は「日本語」の使用を推奨しているが、上野もその考えには基本的に賛意を示している(前回別送資料1)。だが発言のなかで、「ムーブメント」というカタカナ言葉を自ら使用することで馬脚を露呈した。(⑨⑩)「テレビ」や「パソコン」はもはや「電影機」や「電脳」という言葉に置き換えられないほどにカタカナ言葉として定着しており、「ジェンダーフリー」だけが、その責めを受ける謂われはない。
8) 石原知事は発言のなかで、不用意に、「ジェンダーフリー」を分解し、「『ジェンダー』とか『フリー』とか」と二語にしている(⑩)が、「ジェンダーフリー」と「ジェンダー」とは異なる用語であり、混同は許されない。「ジェンダーフリー」の使用禁止が「ジェンダー」の用語の使用禁止に及ぶのは由々しい事態であり、国際的にも学問的にもけっして許容できない。朝日新聞報道における見出し、「『ジェンダー』使用不可 都」(2006.1.26)は重大な誤報であり、朝日新聞は直ちに訂正記事「『ジェンダーフリー』使用不可 都」(2006.1.31)を掲載した。学術用語としての「ジェンダー」と「ジェンダーフリー」とのかかる混同は、無知と認識不足から来るものであり、厳重に注意されたい。

 東京都および国分寺市の関係者の方々には、以上明らかになった追加情報を踏まえた上で、質問への回答を求めます。以上のような新しい展開を付け加える必要が生じたことは、もっぱら回答の遅延に原因があることを申し添えます。また本状は、内容証明郵便の書式に制限があり、かつ添付資料の同封が制約されるため、簡易書留郵便でお送りすることとします。

 なお、1月27日付けで東京都知事および教育庁に宛てられた女性学・ジェンダー研究者らによる抗議声明(1808筆の個人および団体の署名を伴う)によって、本件は、上野個人からの東京都および国分寺市への抗議の域を超え、「言論・思想・学問の自由」の行政による侵害をめぐる問題に発展しています。内外のメディアの注目も高く、本状に対する東京都および国分寺市の対応については逐一関係者に情報公開するつもりでおりますので誠実かつすみやかに説明責任を果たしてくださいますよう、要求いたします。

上野千鶴子
東京大学大学院人文社会系研究科教授

cc人権を考える市民の会/毎日新聞社/読売新聞社/朝日新聞社/日本経済新聞社/産業経済新聞社/東京新聞社/共同通信社/時事通信社/ジャパンタイムズ/日本女性学会/日本女性学研究会/日本ジェンダー学会/ジェンダー史学会/日本学術会議/内閣府男女共同参画会議/内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画)
-----------------------------------------------------------

東京都と国分寺市は、上野さんの質問状に、
回答するかしないかの返事もしないなんて、
いったいどういうつもりなんだろう。
上野さんの問いかけにも、わたしたちの抗議行動にも、
無視を決め込んで、問題をなかったことにしようというのか。
あまりの不誠実さに怒りを感じる。

なお、この事件の詳細および抗議行動については、
「東京都に抗議する!」をご覧ください。
[PR]
「上野千鶴子さん講師排除事件」の続報です。

1月27日(金)の東京都への抗議書提出のあと、
午後3時から、石原都知事の定例記者会見がありました。
 石原知事は、冒頭に
「構造計算書偽装問題」について意見を述べ、
あとは、記者との質疑応答。
そのなかで、上野千鶴子さんの講師拒否と抗議文提出、
「ジェンダーフリー」についての発言がありました。
東京都のwebサイトより、抜粋/引用して紹介します。

1/27石原都知事・定例記者会見録

------------------------------------------------------------
石原知事定例記者会見録
平成18(2006)年1月27日(金)
15:00~15:28

知事冒頭発言
構造計算書偽装問題にかかる分譲マンション居住者への支援について
             ・・・・・・・・・(省略)・・・・・・・・・
質疑応答
             ・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・
【記者】今日、国分寺市が都の委託で計画していた人権学習の講座で、東大の上野千鶴子教授を講師に招こうとしたところ、教育庁がジェンダー・フリーに対する都の見解に合わないと委託を拒否していたことが報道でわかりまして、それに対して、本日、ジェンダーの研究者たちが知事あてに、この上野千鶴子教授を講師として受け入れることの拒否について、これが言論、思想、学問の自由の侵害だと抗議する文書を知事あてに提出したんですが、これについてのお考えをお願いします。

【知事】ちょっとそのいきさつは違うね、あなたの認識と。詳しくは教育庁に聞いてください。ちょっと違いますな。都はそこまで具体的にですね、そういう規制を加えた覚えはない。ただ、何というんですかね、認識を示して、警告というかね。まあ詳しくはね、私が言うと誤解を生じるから教育庁に聞いてください。

【記者】もう1つ追加でお聞きしたいんですが、ジェンダー・フリーという考え方についての知事のお考えをお聞かせください。

【知事】さあ、この言葉そのものがいい加減あいまいな言葉だしね。これにかまけてやっている性教育なるものの教育方針というのは全く違うし、グロテスクだし、私は反対ですね。あんなものは認められないね。恐らく日本人全体に審判させたら、99%がそっぽ向くと思うよ。

【記者】しかし、研究者たちは、そのジェンダー・フリーと性教育というのは、その考えは、本来はそういう考えではないと主張していますが、それについてはどうですか。

【知事】それはだから、ディテール(詳細)のこと、あなた方が検証しなさいよ。私がそんなのいちいち聞き覚えしているわけじゃないんだから。だからね、ジェンダー・フリー、男と女の性というものの格差を埋めていくというのは結構ですよ。

 しかしですね、彼らが具体的に提唱している幾つかの事案に関しては、とても常識でいって許容できないものがたくさんあるから。そういう例外的な事例がね、あまり露骨にメディアに持ち上げられて出てくると、ジェンダー・フリーのある正当性を持ったムーブメント(動き、流れ)でもね、私は非常に誤解を受けると思いますよ。

 詳しくは、だから教育庁に聞いてください。
           ・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・
【記者】現在、東京都教育委員会では、「ジェンダー・フリー」という言葉を誤解を招くおそれがあるとして使わない方針を決めていらっしゃると伺いました。今後、知事はこの「ジェンダー」という言葉の使い方について、誤解がないように議論を重ねて理解を深めていくという努力をなさっていくおつもりはありますか。

【知事】何もね、日本なんだから英語使うことねえんだよ、わけのわからない英語をね。だからね、日本語にうまく訳せばいいじゃないですか。そうすればもっとわかりやすいよ。「ジェンダー」とか「フリー」とか言ったってね、英語のわからない人はさっぱり、おじいさん、おばあさんはわからんよ、そんなものは。日本語でやってくれ、日本語で。
はい。
          (テキスト版文責 知事本局政策担当 細井)
------------------------------------------------------------

発言を読むと、知事は、
「この問題から逃げている」
という印象を受けます。
やはり1808人の署名が、
かなりのプレッシャーだったのでしょうか?

「いちいち聞き覚えていない」「私が言うと誤解を生じるから」
って、まさか口頭で報告受けてるわけじゃないでしょ。

「ちょっと違いますな。都はそこまで具体的にですね、
そういう規制を加えた覚えはない」というのなら、
きちんと説明すべきです。

わたしだったら、
「知事なんだから、文書で報告受けてるでしょ。
それを見せてください」くらい反論しますけどね。

「ディテール(詳細)のこと、あなた方が検証しなさいよ。
私がそんなのいちいち聞き覚えしているわけじゃないんだから。」
って、なんか、記者会見だというのに言葉遣いも下品で、
記者さんたちも相当バカにされているようです。

強権政治で、気に入らないマスコミや職員に圧力をかけていた、
という梶原拓・前岐阜県知事を思い出しました。

ここは東京の記者さんたちも発奮して、
石原都知事の言葉を検証してほしいものです。

まあ、記者がやらないなら、
自分たちでやる、というのも、
ひとつの手ではありますが・・・・・・。

岐阜県の場合は、わたしたち市民団体が
県の情報公開制度を利用して、
おかしいと思う事業を一つずつ検証して、
前知事のやり方を批判/立証してきました。
結果として、今かなりの事業に見直しがかかっています。

そういえば、
石原都知事と梶原前知事は
「右寄りであたらしもの好き」と似ているのに、
互いにけん制しあって「犬猿の仲」でした(笑)。

こういうタイプの知事がトップだと、
不幸なのは市民、というのも、共通ですね。

「趣旨に反する」のはどちら?/
上野千鶴子さんの講師排除事件を検証する(1/31)

[PR]
第4回「M&T企画/自主講座」
今日はこれから、第4回「M&T企画/自主講座」にでかける。
つづけて、明日は「予算総ざらえ」の議員勉強会と
一泊二日の講師を引き受けている。

「M&T企画/自主講座」は今年度最後の選挙「本番編」。
『市民派議員になるための本』をテキストに、
市民型選挙のノウハウとスキルを伝えている。

「わたしも市民派議員になりたい」と思っている人は
どなたでも参加できます。
今年度はもう間に合わないけど、
次年度も、「バージョンアップ編」連続講座を企画します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第4回「M&T企画/自主講座」
●日時:2006年2月4日(土)13:20~20:30
 テーマ《メッセージを届ける~いよいよ選挙》
 会 場:ハートフルスクエアG
 講 師:寺町みどり&ともまさ
《セッション①》 
「書き言葉によるメッセージの届け方」
 a-公選法をどう使いたおすか?(第8章・関連)
 b-メッセージをどう届けるか?/いつどこでだれに(第12章・関連)
 c-政治活動文書の配布のコツ
 d-公選はがきの使い方
 e-「課題のレジメを元に」
《セッション②》 
「話し言葉のメッセージ」
 f-話し言葉のメッセージ~書き言葉から話し言葉への切り替え
 g-「街頭演説」
 h-選挙カーのメッセージと留意点
 i-合併後の選挙の留意点
《セッション③》 
「いよいよ選挙~準備から投票日まで」
 j-告示日までに何を準備するか?(第13章・関連)
    いよいよ選挙-ヒトとモノの回し方(第14章・関連)
 k-選挙でできること・できないこと(告示前との違い)
    モノとカネの動かし方-公選法上の留意点
 l-「まとめのチャート」
 m-「まとめの街頭演説」

《課題》
1)全セッションで、『市民派議員になるための本』をテキストに使います。
 「第2部・勝てる選挙」第1~14章(含む脚注)を事前に読んで理解してくること。
2)プレゼンテーション用の「街頭演説」を考えてくること。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ところで、山県市の2月号の広報の3頁分に、
「多重債務問題」のことがとりあげてあった。
社会問題化する「多重債務」に行政として
いち早く取り組む、山県市にまずは拍手。

詳しくは「てらまち・ねっと」を見てね。
[PR]
 この事件は国分寺市が「人権教育推進のための調査研究」事業の基調講演に、
上野千鶴子さんの「当事者主権」講演会を企画したことからはじまる。

 事業の趣旨は、国の「人権尊重社会の実現に向け、「人権教育・啓発に関する基本計画」(平成14年3月閣議決定)に基づき、社会教育における人権教育を一層推進するために人権に関する学習機会の充実方策等についての実践的な調査研究を行う」ものである。

 新聞報道によると、東京都は、上野さんが講演のなかで、東京都が「使わない」と通達まで出している、「ジェンダーフリー」という用語を使うのではないか、と危ぐして、国分寺市に圧力をかけたらしい。
 結果として、講演会だけでなく、この「人権を考える講座」自体が実施できなくなった。東京都の意志がはたらかなければ、講座は予定通り開かれたはずであり、国分寺市民は「人権」について学び考える機会を失った。この事実は重大だ。

 都の言い分については、以下のような新聞報道がある。
 この記事の都の主張を元に、上野千鶴子さんが「ジェンダーフリーという用語を使う可能性があるのか」「この事業の趣旨にそう講師なのか」の両面から検証してみたい。

上野千鶴子氏、都に抗議「用語統制に介入した」1/30アサヒ.コム

--------------------------------------------------------
 都教委は04年8月に決めた「『ジェンダーフリー』という用語を使用しない」という見解を示し、「講座がその方針に反するなら実施できない」と念押しした。市は「講座でジェンダーフリーという用語や、関連する内容が出る可能性が否定できない」として提案を取り下げたという。(2006/1/28朝日新聞)
------------------------------------------------------------
 事業を担当した都教委社会教育課は「都が委託するモデル事業である以上、都の見解に反した事業は実施できないと伝えた。中止は市が判断したものであり、都として拒否はしていない」と話している。(2006/1/28同朝日新聞)
----------------------------------------------------------
 「ジェンダーフリー」という用語について、事業を委託した東京都教育庁は「男らしさや女らしさをすべて否定する意味で用いられることがある」として使用しないことにしている。「講座でこの用語が使われる可能性があるなら実施できない」との判断を、同市に示したため、同市が提案を取り下げていた。(2006/1/31朝日新聞)
-------------------------------------------------
 東京都教育庁の担当者は「ジェンダーフリーという言葉だけを問題にしたわけではなく、都の事業の趣旨にそうものかどうかの確認を市に求めた」と説明している。(2006/1/31同朝日新聞)
------------------------------------------------------


1.まず、上野さんが「当事者主権」をテーマに話したり、書いたりする場合、「ジェンダーフリー」という用語を使うことがあるのか検証してみた。

1)上野さんは自著の『当事者主権』(岩波書店/2003.10)のなかで、「ジェンダーフリー」という用語を使っていない。

2)2004年12月、上野さんは、NHK教育の「福祉ネットワーク」という番組で「社会を変える“当事者”たち」というテーマで、当事者主権について話している。
この番組は大変な反響をよび、再放送までされた。わたしの回りでもビデオを撮ったひとが多いが、上野さんは番組のなかで、「ジェンダーフリー」という用語を使っていない。番組のなかでは『当事者主権』の本も紹介している。
以下は、その番組の記録のHP。
NHK福祉ネットワーク「社会を変える“当事者”たち」
(2004/12.24上野千鶴子×町村アナウンサー)


3)2005年3月26日、岐阜市内で、上野さんの「当事者主権 私のことは私が決める」という講演会を開催した。この日の資料でも講演でも、上野さんは、「ジェンダーフリー」という用語を使っていない。
いよいよ明日「当事者主権」講演会(2004/3/25付記事)

 以上のように、上野さんは、人権講座のテーマの「当事者主権」では「ジェンダーフリー」という用語を使う可能性はまずない。

2.では、上野さんは「当事者主権」以外では、「ジェンダーフリー」という用語を使うことがあるのだろうか? 
わたしは、4年前から上野さんの本の読書会をしているが、上野さんの著作のなかで「ジェンダーフリー」という用語を見たことがない。
 この事件がおきてから、あらためて、ここ数年の本を元に、実際に「ジェンダーフリー」という用語が使われているのか、いないのかを、一冊ずつ検証してみた。

『当事者主権』(岩波書店/2003.10)
『老いる準備 介護することされること』(学陽書房/2005.2)
『結婚帝国 女の岐かれ道』(講談社/2004.5)
『ことばは届くか』(岩波書店/2004.7)
「ジェンダーフリー」という用語は使っていない。

『脱アイデンティティ』(勁草書房/2005.12)
『差異の政治学』(岩波書店/2002.2)
『現代の理論』「フェミニズムをリアルに生きる」(明石書店/05秋)
『現代思想』「ケアをすること/されること」』(青土社/05.9)
「ジェンダーフリー」という用語は使っていない。

『サヨナラ学校化社会』(太郎次郎社/2002.4)
『at あっと』0号「生き延びるための思想」(05.5) 
『at あっと』1号、2号「ケアの社会学」
「ジェンダーフリー」という用語は使っていない。

3.本のタイトルおよびテーマに「ジェンダーフリー」という用語がつかわれているのは、以下の2冊である。

『ジェンダーフリーは止まらない-フェミニズムバッシングを超えて』は、辛淑玉さんとの共著だが、辛さんと上野さんは「ジェンダーフリー」という用語は使っていない。なお、本の「刊行にあたって」に「『してはいけないジェンダーフリー?」』という設立集会のタイトルは2000年12月に某新聞紙上で繰り広げげられたフェミニズムバッシングのキャンペーンのタイトルをもじってつけたもの」との主催者の言葉がある。

『We』2004年11月号のインタビューのタイトルは「ジェンダーフリー・バッシングなんてこわくない!」。
この中で、上野さんは、「ジェンダーフリー」という用語について、どのように考えているのか、以下のように述べている。
「・・・・ですから、「ジェンダーフリー」は、まず第一に研究者の使う用語ではなく、そして第2に法律用語でもありません。主として行政関係者が使ってきた用語なのですね。わたし自身は、「ジェンダーフリー」は嫌いだし、使いません。なぜかというと、日本語で定着しておらず、なじみもないカタカナ用語をあえて使う理由がまったく理解できないからです。ジェンダー研究の分野での英語文献でも、「ジェンダーフリー」はなじみがありません。わたしは英語文献をたくさん読んできましたが、出会ったことがありません。・・・・・(P5~6)」

4.以上からわかるように、そもそも、上野さんが「ジェンターフリーという用語を使うかもしれない」という、東京都(と国分寺市)の前提と判断そのものが間違い。東京都の言い分は、「事実無根の言いがかり」としか言いようがなく、理由もなく上野さんを排除したものである。
東京都は、「当事者主権」講演会で、上野さんが「ジェンダーフリー」を使う可能性があるという根拠を示すべきだ。

5.つぎに上野千鶴子さんが、「この事業の趣旨に沿う講師なのか」を、この事業の法的な趣旨に照らしあわて、検証してみたい。

この事業は文部科学省が都教委に委託し、都教委が市町村教委に再委託している「人権教育推進のための調査研究事業」。国分寺市は昨年、公募の市民も参加して企画した「人権を考える講座」の開講を事業提案することにした。「当事者主権」をメーンテーマに、「高齢化社会」「子ども」などを題材に計12回を計画。基調講演の格子を上野教授に依頼する予定だった。(2006/1/28朝日新聞)

1)この事業は文部科学省の「人権教育推進のための調査研究事業」で、「国が東京都に委託、都が国分寺市に再委託」する形のものです。
 以下は「人権教育推進のための調査研究事業 実施委託要綱(案)」です。

 この「実施委託要綱(案)」は、「1趣旨 人
権尊重社会の実現に向け、「人権教育・啓発に関する基本計画」(平成14年3月閣議決定)に基づき、社会教育における人権教育を一層推進するために人権に関する学習機会の充実方策等についての実践的な調査研究を行う。」 「2 委託先(1)都道府県教育委員会又は指定都市教育委員会等、(2)都道府県教育委員会と市町村教育委員会を中心に組織する協議会」となっています。

 さらに、「13その他」に、 
(1)文部科学省は、委託先における事業の実施が当該趣旨に反すると認められるときは必要な是正措置を講ずるよう求める。  
(2)文部科学省は、本事業の実施に当たり、委託先の求めに応じて指導・助言を行うとともに、その効果的な運営を図るため協力する。
(3)文部科学省は、必要に応じ、本事業の実施状況及び経理状況について、実態調査を行うことができる」となっています。

2)また、「平成17年度『人権教推進のための調査研究事業』(運用指針)「によると、
1,2は同じですが、「3 事業の内容 (2)モデル事業の実施
 下記の研究事項、人権課題、対象を組み合わせ、モデル事業の実施による検証等を行いつつ、実践的な調査研究を行う。
[研究事項]:人権に関する学習機会の充実方策
      :学習意欲を高める参加体験型学習プログラムの開発、普及方策
      :人権教育に関する指導者研修の充実方策
      :人権教育に関する情報提供の在り方、関係機関との連携方策など
[人権課題]:人権一般、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、 外国人、H IV感染者・ハンセン病患者など
[対  象]:一般、幼児、少年、青年、成人一般、高齢者、保護者、外国人、行政関係者、社会教育指導者など 」となっています。

3)以下は、委託事業の基本となっている「人権教育・啓発に関する基本計画」です。基本計画は、法務省「人権擁護局」の所管で、各省庁が施策の実現のための事業を実施しています。
 この「人権教育・啓発に関する基本計画」「は、以下の「人権教育及び人権啓発の推
進に関する法律」(人権教育・啓発推進法)
に関する、総合的・計画的な推進を計る
ための策定されたものです。この法律は、法務省と文部科学省の共管です。

4)以上のことから、この事業は人権教育推進のために全国の自治体に広く開かれたもの。上野さんは「女性」「高齢者」「障害者」「外国人」など、さきに紹介したなかでも、これら人権課題に関する本をたくさん著している。
 よって、事業の趣旨や基本計画、法律にてらしあわせても、上野さんが講師として不適任と判断する理由および根拠ははまったくない。
 都の担当者は、「都の事業の趣旨にそうものかどうか」と発言しているが、そもそもこの事業は、都の事業ではなく国の事業である。都も委託先の自治体の一つでしかない。つまり、委託を受けた都には、要綱と法の趣旨に従う義務があり、恣意的な判断や行為は許されない。
そもそも、言論および思想・学問の自由は、憲法に保障された基本的な権利である。東京都が、講師の思想、学問、言論の自由に制限をくわえようとすること自体が、「人権推進」に反する行為である。
法および事業の趣旨に反しているのは、東京都のほうだ。

6.最後に、『当事者主権』の結びの言葉は、以下のようです。
 女性運動や性的マイノリティの運動も、その運動がターゲットとしている差別がなくなれば、歴史的使命を果たして、消滅する運命にある。
 私たちは、性、年齢、障害、職業、民族、人種、国籍、階級、言語、文化、宗教等による差別のない社会を求めている。移動の権利、居住の権利(施設か在宅か)を選べる権利、必要な時に介助を受ける権利、働く権利、働かない権利(必ずしも資本主義下の生産活動のみが労働ではない、子どもや高齢者のお世話をしたり、環境をよくする運動も労働といえる)を求めている。時代はいま、包括的な差別禁止法を求めている。
 そのために、全世界の当事者よ、連帯せよ。」


上野千鶴子さんは、国分寺市「人権教育推進のための調査研究事業」の講師として最適任者である、とわたしは思う。
[PR]
# by midori-net | 2006-02-01 05:09 | 活動
国分寺市の「人権学習講座」の講師に、
上野千鶴子さんが東京都に拒否された問題の続報。

1月27日に、東京都に
「研究者や市民1808名の抗議文を提出した」ことが、
新聞記事になった。
岐阜には載らなかったけれど、
首都圏に住んでいるテルテルさんがFAXしてくれた。

毎日新聞の記事を書いたのは、
この事件のきっかけとなった1月10日付けの
初発記事を書かれた五味香織さん。
五味さんとは記者会見の会場で再会した。

--------------------------------------------------------------------
国分寺の人権学習講座中止問題
ジェンダー研究者ら抗議
都に署名1808人分を提出

 「ジェンダー・フリーに対する見解が合わない」として都教育庁が上野千鶴子・東大大学院教授(社会学)の講師依頼を拒否し、国分寺市の 人権学習講座が中止された問題で、ジェンダーの研究者や市民団体など は27日、石原慎太郎知事や都教育長らあての抗議文を1808人・6 団体分の署名を添えて提出した。
 抗議文は、都教育庁の対応について「言論・思想・学問の自由への重大な侵害。“憶測”で前もって言論を封じた、あるまじき行為」と批判している。提出後の記者会見で、呼びかけ人の一人、若桑みどり千葉大名誉教授は、「都教育庁の中で起こっていることが我々の研究にも及ぶ分岐点だと思った。言葉狩りだけでなく、非常に危機的な状況だ」と訴えた。上野教授も、月末までの回答を求め公開質問状を出している。
 一方、石原知事は同日の定例会見で委託拒否について「都はそういう規制を加えた覚えはない」と述べた。「ジェンダー・フリー」に対しては「言葉そのものがいいかげんで、あいまい。日本人なんだから英語を使うことはないんだよ」と話した。【五味香織】
毎日新聞 2006年1月28日
-----------------------------------------------------------

他の新聞にも載ってないか調べてもらったら、
朝日新聞にも、大きな記事が載っていたそうだ。
記者発表には、20社くらい来ていたので、
東京新聞くらいにも載ると、
中日新聞にも載るかも知れない。

「ジェンダー」使用不可(都)
女性学研究者の排除(上野教授)
人権講座中止めぐり対立
研究者ら1808人署名、都に抗議

都の人権教育事業をめぐり、女性学の研究者、上野千鶴子・東京大大学院教授と都が対立している。上野教授が講師となる予定だった国分寺市での講座に対し、都教委が「ジェンダーフリーという用語が使われる可能性があるなら実施できない」とくぎを刺し、講座が中止になったのが発端だ。「都の事業なので、都の見解は踏まえてもらう」という都側に対し、教授側は「このままだと、女性学研究者は都の社会教育事業から排除されることになる」とする公開質問状を石原慎太郎都知事らに送付。27日には、研究者らが都に抗議する事態になっている。--------------------------------------------朝日新聞(1月28日付より一部引用)
(えっ朝日さん、「ジェンダー」使用不可、って見出し、
「ジェンダーフリー」の間違いじゃないの???)

明日は、上野さんが、外国特派員協会で、取材/スピーチを頼まれているそうだ。
あさって31日は、上野さんの公開質問状の回答期日。
とうぶん、この問題から目が離せない。
[PR]
「上野千鶴子さんの国分寺市「人権講座」委託介入に対する
東京都への抗議の申し入れ」のレポート。
ブログやML、メールなどで署名を呼びかけたみなさまに、
お礼を兼ねて、報告させていただきます。
最終的な署名数は、なんと1808筆。
北海道から沖縄まで、研究者から市民まで、
女も男も、性別や分野を越えて、
多種多様なひとから届きました。
うれしい報告です。

詳細は「東京都に抗議する」をご覧ください。

昨日は、午前6時半ごろ出発。
東京行きは19~20日の行政視察から一週間ぶり。

また走る「のぞみ」のデッキから、富士山を撮りました

JR新宿駅西口から都庁までは直通の地下道がつくられてて、
横にはなんとうごく通路まであります。
地下道を抜けると、青空にそびえ立つ都庁。
(手前は、都議会議事棟)
こんなところで、まいにち仕事してたら、
たしかに市民感覚なくなりますねぇ。

スケジュールは、
「11:50~12:00、第二本庁舎27階で
東京都/教育委員会に申し入れ」、
「13:00~14:00、第一本庁舎6階で
東京都庁記者クラブで記者会見」の予定です。

第二本庁舎に、集合時間より30分ほど早く着いたので、
まずは興味深々の豪華庁舎をウォッチング。
あまりに広くて迷子になりそうだったので、集合場所にもどって、
はやめに着かれた呼びかけ人のみなさんと話していました。
全員がそろって、打ち合わせのあと、いざ27階へ。

午後の記者会見のまえに、11時50分から10分間、
呼びかけ人、賛同人、実働スタッフの14~5人で、
東京都に抗議文をわたしました。

抗議文を受け取ったのは、所管課ではなく、
教育委員会・総務部教育情報課長の森田さん。
肝心な時に当事者は逃げる、のは、行政の常です(笑)。

冒頭の手渡すセレモニーだけ、10人ほどの報道関係が写真撮影。
その後、関係者だけが残り、呼びかけ人の
若桑みどりさん、米田佐代子さん、
細谷実さん、加藤秀一さんの4人が自己紹介。
呼びかけ人を代表して、若桑みどりさんが
たった3日で1808人の署名があつまったことを伝え、
抗議文を朗読して、うけとった森田さんが
「責任を持って所管課に渡します」と答えました。

あわただしく議事棟の1階で食事をすませたあと、

午後1時からは、第一本庁舎6階の会見会場で、
東京都庁記者クラブに記者発表。
若桑さんが抗議文を読みあげられたあと、
呼びかけ人のみなさんが報道各社の質問をうけました。
(記者会見は予定の1時間を大幅に越え、
3時から石原都知事の会見があるため、
広報課はやきもきしていたようです)。

わたしは資料のことなどでバタバタしていたので、
詳細は聞き逃しましたが、呼びかけ人のみなさんは、
全国紙、日刊紙はもちろん、「世界日報」の質問にも
ていねいに答えていらっしゃいました。

世界日報記者の、
「上野さん自身が公開質問状を出しているのに、
なぜ都の回答の前に出したのか」という質問に対し、
若桑さんは、まようことなく、
「かんたんなことです。上野さんを孤立させないために、
都の回答を待たずに行動をおこしました」
と明快におっしゃいました。

この言葉が、こころにズシンと響き、
涙があふれそうになりました。

わたしも、同じ思いです。

立場や考えの違いはそれぞれですが、
きっと、
東京都に抗議の意志をとどけたいという思いが
全国各地をかけめぐり、たった3日間で、
1808人もの賛同署名が集まったのだと思います。

昨日手渡したのは、抗議文と
14ページにわたってびっしりと賛同者名が連なる署名簿。
東京都は、この署名の意味を重く受け止めて、
真摯に対応していただきたいと思っています。

東京都には、行政としての
応答責任と説明責任があるはずです。
今回の事件で、行政内部でなにが起きたのか、
上野千鶴子さんの質問に、誠実に答えてください。

◇      ◇      ◇      

ご参考までに、昨年、豊島記者が書かれた関連の、
2005年6月29日付「南日本新聞」記事も紹介します。

----------------------------------------------------
      「■ジェンダーフリー教育問題 本紙記事「でたらめ」
 吉野正二郎鹿児島県議会議員は28日の県議会一般質問でジェンダーフリー教育問題について、同教育を批判する書籍を引用する形で、南日本新聞の記事(2003年8月5日付)を「でたらめ。あることをなかったことにして報道した」と批判した。
 記事は同年6月、吉野議員の県議会一般質問での発言を受けたもの。行き過ぎた教育の実例として、(1)川崎市や福岡県立大牟田北高校で体育の時間など男女が一緒の更衣室で着替えさせられた(2)東京・国立市の高校は修学旅行で男女が一緒の部屋で宿泊させられた(3)川崎市の公立中で男女一緒に身体検査を受けさせられた-などと摘したが、当該自治体や学校が事実を否定している、という内容だった。
 吉野議員はこの日の議会で、取材記者を名指しし当時の報道を「私が根拠のないことを言っていると感じられる」と批判。「事例に挙げた中学や高校の父母から直接聞いた話」と強調した。
 一方、関係自治体や学校側は28日、南日本新聞の電話取材に対し、吉野議員の指摘をあらためて否定した。
 大牟田北高校の近藤博文教頭は「当時も今も男女が同じ更衣室で着替えることはない」。川崎市教育委員会健康教育課の藤原淳子指導主事は「まったく事実でない。ありえないし迷惑」。都教委高校教育指導課の上村肇主任指導主事は「聞いたことがない。万一あったら地元で大騒ぎになる」と否定した。
 -記事はきちんと取材-
 有川賢司南日本新聞社編集局長の話・吉野議員が指摘した南日本新聞の記事はきちんとした取材に基づいている。今後も的確な報道を続けていく。」
---------------------------------------------------
(6月29日付「南日本新聞」記事より一部引用)>


東京都への抗議行動に賛同し、
行動してくださったみなさん、
ありがとうございました。

[PR]
速報です。

今回の「東京都が上野さんの講師選定を拒否した」事件について、
上野千鶴子さんの原稿が、昨日の、
信濃毎日新聞と熊本日日新聞の1月23日付
連載コラム「月曜評論」に掲載されました。

昨日アップした「東京都に抗議署名を!」の署名も、
全国のこころある方たちから、ぞくぞくと集まってて、
1500人は越えているようです。

このURLは転載・転送自由で、
あちこちのブログでとりあげられています。

署名の締め切りは、明日1月26日正午。
まだ間に合います。


あなたもぜひ、上野さんの記事を読んで
署名に参加してください。

------------------------------------------------------------
ジェンダー・フリーをめぐって 
         上野千鶴子

 東京都知事とけんかを始めた。
 正確にいうと、売られたけんかを買っただけで、こちらから売ったわけではない。毎日新聞 (2006年1月10日付け)に「ジェンダー・フリー問題:都『女性学の権威』、上野千鶴子さんの講演を拒否/用語など使うかも…『見解合わない』理由に拒否--国分寺市委託」の記事が掲載されたので、知っている人もいるかもしれない。
 主催側の市民団体の方たちから、都の委託事業で国分寺市が主催する人権講座に、「当事者主権」のテーマで講演してほしいという依頼を受け、それが都の介入によって取り消しになった経過説明を受けていた。だが、都の説明文書があるわけではなく、もっぱら伝聞情報ばかりなので、反論のしようがない。毎日新聞の記者が、都の東京都教育庁生涯学習スポーツ部社会教育課長に取材して、発言を記事にしてくれた。それでようやく言質がとれた。
          *          *
 それによれば「上野さんは女性学の権威。講演で『ジェンダー・フリー』の言葉や概念に触れる可能性があり、都の委託事業に認められない」とある。私は女性学の権威」と呼ばれることは歓迎しないが、女性学の研究者ではある。都の見解では、「女性学研究者」すなわち「ジェンダー・フリー」の使用者、という解釈が成り立つ。わたしに依頼のあった講座は、人権講座で、タイトルにも内容にも「ジェンダー・フリー」は使われていないのに、「可能性がある」だけで判断するのだから、おそれいる。世の中には、「ジェンダー学」を名のる研究者も多く、それらの人々はましてや「ジェンダー・フリー」を使う可能性が高い。そうなると、女性学・ジェンダー研究の関係者は、すべて東京都の社会教育事業から排除されることになる。
 わたしは石原都政以前には都の社会教育事業に協力してきた実績があるし、現在でも他の自治体からは教育委員会や男女共同参画事業の講演者に招聘されているのだから、都にとってだけ、とくべつの「危険人物」ということなのだろうか?
 看過するわけにいかないので、公開質問状を、石原慎太郎東京都知事、東京都教育委員会、国分寺市、国分寺市教育委員会等に1月13日付けの内容証明郵便で送った。意思決定のプロセスを明らかにし、責任が誰にあるのかを問うことと、上野が講師として不適切であるとの判断の根拠を示すように求めたものである。回答の〆切は1月末日。
          *          *
 こういうやりとり、おそらく石原知事は「余は関知せず」というだろう。都庁の役人が、都知事の意向を忖度(そくたん)してやったことと思うが、この時期に都の生涯学習スポーツ部社会教育課長という職にたまたま就いていた人物は、自分がどんな地雷を踏んだかに気がついていないだろう。この役人も、おそらく石原都政前には別な判断をしていただろうし、石原政権が交替すればまたまた変身するかもしれない。すまじきものは宮仕え。ご苦労さんとは思うが、ことは上野個人の処遇に関わらない。ゆきすぎた「ジェンダーフリー・バッシング」には徹底的に反論しなくてはならない。
 公開質問状は主要メディアにも同時に送付した。現在までのところ、毎日とNHKは報道、朝日と時事通信からは取材、日本外国特派員協会からもコンタクトがあった。本欄の読者の方たちは、これで初めて知ることになるだろうか。今後の帰趨(きすう)を見守ってもらいたい。
------------------------------------------------------------
(信濃毎日新聞・熊本日日新聞2006/1/23付「月曜評論」記事より)



「東京都に抗議!」の署名はここから。
[PR]
「上野千鶴子さんの講演を東京都が拒否」に対し、
研究者のみなさんが呼びかけ、市民もいっしょになって
広く抗議署名がはじまっています。

国分寺市民の実行委員会が企画していた
人権講座の講演は「当事者主権」です。

そもそも、このブログは昨年3月26日にひらいた
上野千鶴子さんの「当事者主権」講演会のために
つくったものですから、わたしとしても、
東京都の暴挙に、つよいいきどおりを感じています。

東京都に抗議する!署名はここから。

この署名は、だれでもできます。
署名の第一次締め切りは、
1月26日正午です。


趣旨に賛同される方は、
東京都に抗議する!
のURLを、ぜひ
「あなたのブログにリンク」
「友達にメールで送る」
「HPにアップする」などしていただいて、
この署名をひとりでも多くの人に広げてください。


以下は、抗議文の全文です。
------------------------------------------------------------
東京都知事         石原慎太郎 殿
東京都教育委員会 教育長  中村 正彦 殿
東京都教育委員会 各位

                抗 議 文

上野千鶴子東大教授の国分寺市「人権に関する講座」講師の拒否について、
これを「言論・思想・学問の自由」への重大な侵害として抗議する

1 言論の自由の侵害について

 報道によれば、今回の拒否の一因として、同教授がその講演において「ジェンダー・フリ-という言葉を使うかも」という危惧があった故だとされている。ひとりの学者/知識人がその専門的知見において、その著書または講演のなかでいかなる用語を用いるかは、学問・思想・言論の自由によって保証されている。学問・思想・言論の自由は、民主主義社会の根幹であり、なんぴともこれを冒すことはできない。
 まして、その講演が開催され、実際に発話されたのではないにもかかわらず、その用語が発せられるだろうという“憶測”によって、前もってその言論を封じたということは、戦前の「弁士中止」にまさる暴挙であり、民主憲法下の官庁にあるまじき行為である。
 このような愚挙がまかり通れば、今後、同様の“憶測”、”偏見 ”に基づいて、官憲の気に入らぬ学者/知識人の言論が政治権力によって封殺される惧れが強くなる。日本が戦前に辿ったこの道を行くことをだれが望むであろうか。それが日本の社会に住むひとびとの幸福な未来を描くと、誰が思うであろうか。

2 学問と思想の自由の侵害について

 ジェンダー理論は国際的に認知された思想・知見・学問である。現在欧米及びアジアの主要大学において、ジェンダー理論の講座を置かない大学はなく、社会科学、文化科学の諸分野でジェンダー理論を用いずに最新の研究を開拓することは困難である。
 いっぽうでは、それは1975年、第一回世界女性会議以降、世界のいたるところで太古から実行されてきたあらゆる種類の女性への差別を撤廃し、人間同士の間の平等を実現するという国際的な行動と連動し、その理論的な基盤を提供してきた。学問と社会的改良とは両輪となって人類の進歩に貢献してきたし、これからもそうである。
 しかしながら、「ジェンダー理論」は、同時期に国際的に認知された「ポストコロニアル理論」と同様に、3~40年の歴史しかもっていない。したがって日本の人々のあいだにその用語および理論への理解が定着するにはまだまだ時間がかかるであろう。
 しかし、それは喧伝されているように「日本の伝統に反する」「外国製の」思想ではない。なぜならば、すでに明治時代からわれわれの先輩たちは、女性もまた参政権を得るために、また女性としての自立権を得るために血のにじむ努力をしてきたからである。この人々は新憲法によってその権利を保証されるまでは、弾圧と沈黙を強いられてきた。いまだに、在日朝鮮人をはじめとする外国籍市民は、参政権すら得ていない。日本の、また世界のひとびとが平等な権利を獲得するための、長い旅程の半ばにわれわれはいる。
 そのようなわれわれ自身の知見と努力の歴史の上に、国際的な運動のうねりと学問の進歩によって、われわれは国際的な用語としての「ジェンダー」とその問題を解明し、解決することをめざすジェンダー理論を獲得したのである。思えば、日本社会に生きるわれわれは、常に有用な智恵を世界に学び、これを自己のうちに内在する問題と融和させ、独自のものとして実践してきたのではなかったか。そこにこそ日本の社会の進歩があった。女性学・ジェンダー研究者は、今まさにそのために研鑽、努力している。その教えをうけた無数の学生、教育現場で実践する教師、地域で活動する社会人は、グローバルな運動の広範な基盤をなしている。上野氏はその先駆的なひとりである。今回の事件についてわれわれは強い危惧の念を覚えている。先人の尊い努力によってようやくに獲得できた思想、学問、行動の自由の息の根を止めさせてはならない。

3 ジェンダーへの無理解について

 ジェンダーは、もっとも簡潔に「性別に関わる差別と権力関係」と定義することができる。したがって「ジェンダー・フリー」という観念は、「性別に関わる差別と権力関係」による、「社会的、身体的、精神的束縛から自由になること」という意味に理解される。
 したがって、それは「女らしさ」や「男らしさ」という個人の性格や人格にまで介入するものではない。まして、喧伝されているように、「男らしさ」や「女らしさ」を「否定」し、人間を「中性化」するものでは断じてない。人格は個人の権利であり、人間にとっての自由そのものである。そしてまさにそのゆえに、「女らしさ」や「男らしさ」は、外から押付けられてはならないものである。
 しかしながら、これまで慣習的な性差別が「男らしさ」「女らしさ」の名のもとに行われてきたことも事実である。ジェンダー理論は、まさしく、そうした自然らしさのかげに隠れた権力関係のメカニズムを明らかにし、外から押し付けられた規範から、すべての人を解放することをめざすものである。
 「すべての人間が、差別されず、平等に、自分らしく生きること」に異議を唱える者はいないだろう。ジェンダー理論はそれを実現することを目指す。その目的を共有できるのであれば、目的を達成するためにはどうすべきかについて、社会のみなが、行政をもふくめて自由に論議し、理解を深めあうべきである。
 それにもかかわらず、東京都は、議論を深めあうどころか、一面的に「ジェンダー・フリー」という「ことば」を諸悪の根源として悪魔化し、ジェンダー・フリー教育への無理解と誤解をもとに、まさに学問としてのジェンダー理論の研究および研究者を弾圧したのである。このことが学問と思想の自由に与える脅威は甚大である。

 以上の理由をもって、われわれは東京都知事、教育庁に抗議し、これを公開する。

     2006年1月23日

呼びかけ人  
若桑みどり(イメージ&ジェンダー研究会・ジェンダー史学会・美術史学会・歴史学研究会)
米田佐代子(総合女性史研究会代表)
井上輝子(和光大学)
細谷実(倫理学会・ジェンダー史学会・関東学院大学)
加藤秀一(明治学院大学)
------------------------------------------------------------
[PR]
# by midori-net | 2006-01-23 05:11 | 活動
国分寺市の人権教育事業の講師を都に拒否された事件で、
上野千鶴子さんが公開質問状を提出された記事の続報です。

なお、この件については毎日新聞が記事を書いていて、
わたしも引用してアップしました。

上野千鶴子さんの講演を都が「見解に合わない」と拒否(1/13)

上野千鶴子さんが公開質問状を出しました。(1/14)

以下に、上野さんが東京都および国分寺市に送られ公開質問状
(回答期限は1月末)の本文を紹介します。(転載、引用自由)

公開質問状のあて先は、
東京都知事、東京都教育長、教育委員長、
教育庁生涯学習スポーツ部社会教育課長、および、
国分寺市長、教育長、教育委員長、生涯学習推進課長です。

-------------------------------------------
公開質問状
                           2006年1月13日
 平成17年度における文部科学省委託事業「人権教育推進のための調査研究事業」について、私を講師とする事業計画案を都教育庁が拒否した件について、国分寺市の「人権に関する講座」準備会のメンバーおよび、2005年11月20日に開催された「人権を考える市民集会」参加者から、経過説明を受けました。
 また2006年1月10日付け毎日新聞夕刊報道「「ジェンダー・フリー」使うかも・・・都「女性学の権威」と拒否」(別送資料1)によって、都の発言内容が一部明らかになりましたので、以下の事実について、説明を求め、抗議します。

(1)今回の国分寺市の委託事業の拒否にあたって、都および市のどの部局がいかなる手続きによって意思決定に至ったか、その責任者は誰であるかを、私にお示しください。
(2)その際、上野が講師として不適切であるとの判断を、いかなる根拠にもとづいて下したかを、示してください。
 
 なお、報告と報道にもとづいて知り得た限りの、都の説明に対する反論を、以下に記しておきます。
 1)今回の講師案は「人権講座」であり、「女性学」講座ではない。講演タイトルにも内容にも「女性学」が含まれないにもかかわらず、「女性学」の専門家であることを根拠に拒否する理由がない。それならば、今後、この種の社会教育事業に、女性学関係者をいっさい起用しないということになる。
 2)女性学研究者のあいだでは、「ジェンダー・フリー」の使用について一致がなく、一般に私を含む研究者は「ジェンダー・フリー」を用いない者が多い。さらに私は、「ジェンダー・フリー」を用語として採用しない立場を、公刊物のなかで明らかにしている。(別送資料2)都の判断は、無知にもとづくものであり、上野の研究内容や女性学の状況について情報収集したとは思えない。
 3)とはいえ、私自身は「ジェンダー・フリー」の用語を採用しないが、他の人が使用することを妨げるものではなく、とりわけ公的機関がこのような用語の統制に介入することには反対である。なお、「ジェンダー・フリー」という用語について申し述べておけば、「ジェンダー・フリー」を「体操の着替えを男女同室で行うなど、行きすぎた男女の同一化につながる」という「誤解」が生じたのは、「誤解」する側に責任があり、「ジェンダー・フリー」の用語そのものにはない。
 4)毎日新聞報道によれば、都の説明は「上野さんは女性学の権威。講演で『ジェンダー・フリー』の言葉や概念に触れる可能性があり、都の委託事業に認められない」とある。
 私は女性学の「権威」と呼ばれることは歓迎しないが、女性学の担い手ではある。都の見解では、「女性学研究者」すなわち「ジェンダー・フリー」の使用者、という短絡が成り立ち、これでは1)と同様、都の社会教育事業から私を含めて女性学関係者をいっさい起用しないことになる。
 5)上記、都教育庁生涯学習スポーツ部の説明では、「『ジェンダー・フリー』の言葉や概念に触れる可能性があり」と婉曲な表現をしている。
 だが、「可能性」だけで拒否の理由とすれば、根拠もなく憶測にもとづいて行動を判断することになる。そうなれば、「『ジェンダー・フリー』の言葉や概念に触れる可能性がある」との理由で、女性学研究者はすべて都の社会教育事業から排除される結果となる。
 6)もしそうではなく、他の女性学研究者は講師として適切であり、上野だけが不適切であるという判断を都がしたのであれば、その根拠を示す必要がある。
 7)上野は、他の自治体の教育委員会や人権関係の社会教育事業の講師として招請を受けている。また解散前の東京都女性財団に対しても、社会教育事業の講師として貢献してきた。かつての上野に対する都の評価が変化したのか、あるいは他の自治体とくらべて都に上野を拒否する特別な理由があるのか、根拠を示してもらいたい。
 8)以上の都の女性学に対する判断は、女性学を偏った学問と判定するこれこそ偏向した判断であり、学問として確立された女性学に対する、無知にもとづく根拠のない誹謗である。

 以上の反論をふまえたうえで、上記2点の質問に対する回答を、1月末日までに、文書でお送り下さるよう、要求します。以上、内容証明付きの郵便でお届けします。
 なお、同一の文書は主要メディアおよび女性学関連学会にも同時に送付することをお伝えしておきます。

上野千鶴子
東京大学大学院人文社会系研究科教授

資料1:2006年1月10日付け毎日新聞夕刊報道「ジェンダー・フリー」使うかも・・・都「女性学の権威」と拒否」
資料2:上野インタビュー「ジェンダーフリー・バッシングなんてこわくない!」
『We』2004年11月号(p2-19)
(資料は別送)

cc人権を考える市民の会/毎日新聞社/読売新聞社/朝日新聞社/日経新聞社/サンケイ新聞社/東京新聞社/日本女性学会/日本女性学研究会/ジェンダー学会/ジェンダー史学会/学術会議/内閣府男女共同参画会議/男女共同参画大臣

--------------------------------------------------------


この事件を毎日新聞で読んだ時、
わたしは大きないきどおりを感じました。

この事件は、もちろん
女性学やジェンダーの問題としても重大ですが、
東京都の国分寺市に対する介入は
市民自治への挑戦とも言えるでしょう。

また、国分寺市としても、
このような都の圧力に屈することなく、
市民が計画した上野さんの講演を実現させることこそが、
市民参加事業を企画した責任でしょう。

この事業は、国から都が委託を受け、
国分寺市に再委託したものと聞きます。

委託された事業の目的と趣旨を理解して、
委託元の国(文部科学省)に確認し、
国分寺市の講師選定に間違いはないと、
東京都に対抗することはできたはずです。

わたしも抗議等の行動を起こしたいと思います。

あなたもぜひ抗議の声を挙げてください。
------------------------------------------------------------

以下は、公開質問状の送付先の連絡先です。
《東京都関連》
東京都公式HP 東京都庁〒163-8001東京都新宿区西新宿2-8-1 
電話03-5321-1111(代表)
「都民の声」koe@metro.tokyo.jp
「都民の声総合窓口」〒163-8001東京都庁「都民の声総合窓口」あて
ファクス 03-5388-1233
東京都教育庁HP東京都教育庁HP


《国分寺市関連》
●国分寺市公式HP
 http://www.city.kokubunji.tokyo.jp/default.htm
 国分寺市役所
 〒185-8501 東京都国分寺市戸倉1-6-1 電話:042-325-0111(代表)
●市長へのメール
  e-mailアドレス mayor@city.kokubunji.tokyo.jp
●秘書広報課(政策部)
 (主な業務):市長・助役の秘書業務、市表彰に関することや市民の皆さんの要望・
意見などを、市政に反映させていくため、いろいろな広報・広聴活動を実施していま
す。
秘書担当(内線401) 広報担当(内線410) 広聴担当(内線559)
e-mail: hisyokouhou@city.kokubunji.tokyo.jp
●国分寺市・各組織の一覧
  http://www.city.kokubunji.tokyo.jp/ka/main.htm

(国分寺市教育委員会)
●庶務課(教育部)
(主な業務):教育委員会の庶務・経理・施設に関することを行う。
庶務係(内線450) 施設係(内線455)
e-mail: syomu@city.kokubunji.tokyo.jp
●生涯学習推進課(教育部)
(主な業務):社会教育の振興に関する事業を行います。
生涯学習推進担当(内線463)
e-mail: syougaigakusyu@city.kokubunji.tokyo.jp
[PR]
# by midori-net | 2006-01-16 07:47 | 活動
昨日の記事の続報です。

東京都教育庁が上野千鶴子さんの講演を拒否したため、
国分寺市の人権学習講座が中止された問題で、
上野さんが東京都に公開質問状を出されました。


初発記事を書かれた毎日の五味さんが
追い記事を配信されたものです。

9時前のNHKニュースでも、
この問題が取り上げられたそうです。
友人が見てたんですが、東京ローカルで、
岐阜では見れんかった(残念!)

問題をうやむやにせずに、
当事者として、
迅速に対応される上野さんはさすが!

やっぱ、
「売られたケンカはかわなくっちゃね!」


----------------------------------------------------------
ジェンダー・フリー:上野さんが都に質問状 講座中止で

 「ジェンダー・フリーに対する見解が合わない」と、東京都教育庁が上野千鶴子・東大大学院教授(社会学)の講師依頼を拒否したため、国分寺市の人権学習講座が中止された問題で、上野教授は13日、石原慎太郎都知事や都、同市教委に対し、講座中止の理由を問う公開質問状を出した。
 質問状では、同庁が「『ジェンダー・フリー』に触れないとする都の見解と合わない」などと委託を拒否したことに対し「女性学に対する偏向した判断」と批判。上野教授を講師として不適切とした根拠などの説明を求めている。【五味香織】
(毎日新聞 2006年1月13日 22時48分)
------------------------------------------------------------


委託事業とはいえ、もともとは文部科学省の
「人権教育推進のための調査研究事業」。

国分寺市の事業の講師選定に介入し、
廃止に追い込んだ東京都の責任は重大です。
東京都は、行政として、なぜこのような判断をしたのか、
きちんと応答責任と説明責任を果たすべきです。
[PR]
# by midori-net | 2006-01-14 07:44 | 活動
夕方から雨が音をたてて降りだした。
明日は、京都にいるひとに誘われて、
「精華大で上野千鶴子にケンカを学ぶ」を聴きにいこうと、
たのしみにしているというのに・・・・。

ところで、
1月10日の毎日新聞夕刊の社会面に、
「上野千鶴子さんの講演を東京都が拒否した」
という記事が載っていた。
全国版の社会面トップニュースだ。

毎日新聞はすべて署名記事なので、
だれが書いたかがすぐわかる。
この記事を書かれた五味香織さんは、
岐阜支局が初任地のすぐれた記者で
市民運動や裁判でとてもお世話になった。

名古屋本社社会部に転勤された後も、
ミニコミを送ったり、親しくしていた。
去年、東京本社社会部に転勤されたと聞き、
署名記事をなつかしく読んだ。

わたしが経験しただけでも、行政がし意的に、
講師選定や意に添わぬひとを排除するということは、
地方や水面下ではたくさんあると思う。

とはいえ、なかなか表面化しにくく、
事実関係がつかみにくい問題を
地道な取材で、多くのひとに見える問題として
記事にされた五味さんと、
泣き寝入りしなかった、であろう
国分寺市のみなさんに拍手を送りたい。

つれあいの父の葬儀やなんやかやで
バタバタしてて、遅れてしまったけれど、
以下に10日の記事を紹介します。

(2006年1月10日毎日新聞夕刊より)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
上野千鶴子さんの講演
都「女性学の権威」と拒否 見解合わないを理由に

 東京都国分寺市が、都の委託で計画していた人権学習の講座で、上野千鶴子・東大大学院教授(社会学)を講師に招こうとしたところ、都教育庁が「ジェンダー・フリーに対する都の見解に合わない」と委託を拒否していたことが分かった。都は一昨年8月、「ジェンダー・フリー」の用語や概念を使わない方針を打ち出したが、上野教授は「私はむしろジェンダー・フリーの用語を使うことは避けている。都の委託拒否は見識不足だ」と批判している。
 講座は文部科学省が昨年度から始めた「人権教育推進のための調査研究事業」の一環。同省の委託を受けた都道府県教委が、区市町村教委に再委託している。
 国分寺市は昨年3月、都に概要の内諾を得たうえで、市民を交えた準備会をつくり、高齢者福祉や子育てなどを題材に計12回の連続講座を企画した。上野教授には、人権意識をテーマに初回の基調講演を依頼しようと同7月、市が都に講師料の相談をした。しかし都が難色を示し、事実上、講師の変更を迫られたという。
 このため同市は同8月、委託の申請を取り下げ、講座そのものも中止となった。
 都教育庁生涯学習スポーツ部は「上野さんは女性学の権威。講演で『ジェンダー・フリー』の言葉や概念に触れる可能性があり、都の委託事業に認められない」と説明する。また、一昨年8月、都教委は「(ジェンダー・フリーは)男らしさや女らしさをすべて否定する意味で用いられていることがある」として、「男女平等教育を推進する上で使用しないこと」との見解をまとめていた。
 一方、女性学とは社会や学問のあり方を女性の視点でとらえ直す研究分野だ。上野教授は「学問的な見地から、私は『ジェンダー・フリー』という言葉の使用は避けている。また『女性学の権威だから』という理由だとすれば、女性学を『偏った学問』と判定したことになり許せない」と憤る。
 同市や開催準備に加わってきた市民らは「講演のテーマはジェンダー・フリーではなく、人権問題だった。人権を学ぶ機会なのに都の意に沿う内容しか認められないのはおかしい」と反発している。   【五味香織】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(なお、記事中の「ジェンダーフリー」の用語解説は、
一部誤解をまねく表現があったので、省略しました。)

「ジェンダーフリー」については、
以下の「ジェンダーとメディア・ブログ」が詳しいので、
ぜひお読みになってください。

ジェンダーとメディア・ブログ10.11付け記事
上野千鶴子氏「ジェンダーフリー」発言記録


「わたしはむしろジェンダーフリーという用語を使うのは
避けている。都の委託拒否は見識不足」、
「『女性学の権威だから』という理由だとすれば、
女性学を『偏った学問』と判定したことになり許せない」
と憤る上野さんに、「ケンカを売った」のは、
ほかならぬ東京都だ。

この問題が、石原都知事の足元で、
今後どんな展開を見せるか目がはなせない。
[PR]
# by midori-net | 2006-01-13 07:42 | 活動
ひさしぶりに会った友人から
「みどりさんて、ようわからん人や
とずっと思っとった」と言われた。

やりたいときにできることをしてきただけなのに、
「会うたびに変わっててつかみどころがない」
「あなたのアイデンティティは一体なんなの」と
親しくなったころに友人からけっこう言われてきた。

小さいころから、他人様だけでなく、
家族からも「変わった子」と言われつづけたわたし。
生き延びるために、その場その場を切り抜けてきた。

「アイデンティティ?そんなもんないよ」と答えるかわりに、
「あなたの知ってるわたしが、わたし」
と煙にまいてきた。
アイデンティティなんかなくったって、
わたしはちっとも困らない。

上野千鶴子[編]の最新刊、『脱アイデンティティ』。
(上野千鶴子編/勁草書房/2005.12.20)

人はアイデンティティなしでは生きられないのか?
一貫性のある自己とは誰にとって必要なのか?
賞味期限切れの概念に問題提起。


一読して、帯のコピーに共感した。

先日、上野さんの研究室におジャマしたとき、
できたてのホヤホヤを「はい」と手渡された。
表紙と目次をぱらぱらと見ただけでおもしろそう。

アイデンティティの理論の革新は、アイデンティティ強迫や統合仮説と対抗してきたが、それらの努力は、「宿命」としてこの強いられた同一性から逃れたい、または逃れる必要があると考える、(少数派の)人々によってこそ担われた、と。

「版元から送ってあったから」ということで
本はするりとわが手から抜け・・・・・。

読みたくてたまらなかったが、がまんガマン。
家に帰って、届いていた本をいっきに読んだ。


『構築主義とは何か』(上野千鶴子編/勁草書房/2001)の続編にあたるこの本は、1章から8章まで内容も執筆者も多彩である。『下流社会』(光文社/2005)の三浦展さんも、わたしが好きな『民が代斉唱』(岩波書店/2003)のチョン・ヨンヘさんも書いている。他の執筆者は、伊野真一、浅野智彦、斎藤環、平田由美、小森陽一、千田有紀さん。千田さんと伊野さんは『構築主義とは何か』にも執筆している。
「序章 脱アイデンティティの理論」と「終章 脱アイデンティティの戦略」を編者の上野さんが執筆している。

 アイデンティティの理論そのものが解放的であったり、抑圧的であるわけではないように、脱アイデンティティの理論そのものが解放的であったり、抑圧的であるわけではない。脱アイデンティティは、ある種の人々からは「病理」と見えるだろうし、べつの人々にとっては、「解放」と見えるだろう。・・・・・・ツールとしての社会学的理論は、文脈に応じて、どんな使い手にも奉仕する。だが、最後にもう一度確認しておきたいことがある。たとえそれが意図に反した利用をされることがあったとしても、どのような理論も、それを必要とする切実な動機づけを持った人々の努力によって、つくられ、変容してきたのだ、と。 <終章 脱アイデンティティの戦略>より

「脱アイデンティティ」を「解放」の理論と見るわたしは、
どうやら「病理」とウラオモテ/紙一重の人生を生きてきたらしい。

『脱アイデンティティ』が読めなかったので(笑)、
新宿の紀伊国屋で『at[あっと]2号』を買った。

活字中毒のわたしは、ホテルと新幹線で、2度読んだ。
さいしょは本の全部を。2度目はじっくりと、
上野さんの連載「ケアの社会学」だけを。

今回は《第一章 ケアに根拠はあるか》
1 なぜ高齢者をケアするのか?
2 介護は再生産労働か?
3 階層問題としての介護
4 家族介護とは何か
5 援助は正当化されるか?
6 家族に介護責任はあるか?


『at[あっと]1号』「序章 ケアとは何か?」
(10/6付記事)はこちらから


今回の論文に引用されている
『資本制と家事労働 マルクス主義フェミニズムの問題機構』
(上野千鶴子著/海鳴社/1985)がなつかしい。
わたしがさいしょに読書会をした本だ。

「解放の理論というものは社会の理論を必要とする。」

「フェミニズムは、
未だないものをあらしめようという、理論的・実践的な営為である。
社会の作りかえのために、社会をとらえる理論的な枠組み自体を
作りかえようと模索する運動である。」


このとき、
上野さんの理論を学ぶとこころに決めた。

「思えば遠くにきたもんだ」。
[PR]

『声をなくして』(永沢光雄著/晶文社/2005)を読んだ。
ガンで声帯をなくして、声を失った永沢光雄さんの「日記」。

帯にこんなことばがある。

『AV女優』などの話題作でインタビューの名手として知られる永沢光雄が、43歳の或る日、下喉頭がんの手術で声を失ってしまった。その闘病生活を1年にわたり赤裸々に日記に綴った。
 朝起きる。ひどい首の痛み。そして、呼吸困難。鼻につながる気管も切除され、呼吸は左右の鎖骨の間に空いた穴から行う。全身のどんよりとした疲れ。まず最初の日課は焼酎の水割りで大量の薬をのどに流し込むことだ。
 そんな日々でありながら、筆者の筆致はユーモアに満ち、声を失った自分を時にはおかしく、時には哀しく描いている。だから、みんなも、毎日がつらくても生きて欲しい。他者への暖かいメッセージが行間にあふれている。

泣き笑いをしながら、半日で読んだ。
約30ページの「少し長いあとがき」が秀逸だ。

「雫である。
人の、一人の人間の一生なんて、雫である。
心からそう思う。・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(中略)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私は、言う。ちゃんと、言う!
みんな、死ぬな!」。


岐阜県の東端のまち、中津川市議会に、
同じようにガンで声を失った小池さんという議員がいらっしゃる。
「議会で発言の権利を奪われている」という報道を知ってから、
面識はないけれど、ずっと気にかかっていた。
小池さんは、本で知った闘病生活を経験しただけでなく、
議会という場においても、議員としての声をなくしている。
声を奪っている原因は、小池さんでもガンでもなく「議会」にある。

議会は“言論の府”といわれるように、議員活動の基本は言論であって、
問題は、すべて言論によって決定されるのが建前である。
このため、議会においては、特に言論を尊重し、その自由を保障している。
会議原則の第一に「発言自由の原則」が挙げられるのもそのためである。
(『議員必携』より)


言論をうばれてしまっては、議員の公務はできない。
「代読させない」ということは、この「発言自由の原則」
を議会みずからが踏みにじるということだ。

さいしょに、議員たちが「代読させないと決めた」と聞いた時、
なんてイジワルな議員ばかりなんだろう、と思った。
同時に、わたしの議員経験に照らして、さもアリなんとも。
議会は、外の世界なら常識である他者に対するやさしさや、
弱者に対する配慮は無縁の「弱肉強食」の世界。
弁護士会の人権擁護委員会の勧告まで無視して、
「治外法権」とでも思っているのだろう。
こういうことが起きると議会の倒錯ぶりが露呈される。

こんな傲慢な議員たちが、市民のすべての生活にかかわる
政策やサービスを日々、意思決定しているなんて、
不幸なのは、中津川市民も、だろう。

今朝の中日新聞に、以下の囲み記事が載ったので、
転載して、紹介したい。


中日新聞2005.12.19付「物見櫓(ものみやぐら)」より
------------------------------------------------------------
「問われる議会の見識」
大阪夕陽丘学園短大教授・川崎和代


 岐阜県の中津川市議会で、ガンで声帯を失った議員が議会事務局職員の代読による発言を認めるよう求め続けている。ささやかな、しかし切実な要求だ。
 本年5月大阪に住む私に、市議夫人から突然電話があった。人づてに私が障害者の参政権保障について研究していることを聞いたという。話によれば、議会は、代読はダメだが、音声変換機能付きパソコンを使った発言なら認めるという案を示したそうである。パソコンの音声変換は代読に勝るほどのレベルにはないし、何より議員が求めているのは代読による発言で、それがダメだという合理的な理由が明らかではない。
 この11月16日には、岐阜県弁護士会の人権擁護委員会が議会事務局職員の代読による発言を認めるように勧告した。この勧告後に、議会は、事前準備不可能な本会議での再質問と委員会での質問には代読を認めるという対応を示した。それなら、なおさら一般質問で代読を認めない理由がわからない。
 12月15日の委員会では初めて副委員長が代読する形で発言が認めるられ、不都合なく議事はスムーズに進行したという。パソコンの利用に固執する理由がないことは、これであきらかとなった。議会に求められるのは、委員会だけでなく本会議でも、すべて代読を認めることであり、副委員長による代読が、議員の発言内容をチェックすることにならないように求めておきたい。問題は解決したわけではなく、今後の対応の中で議会の見識が問われるのである。
 いうまでもなく、議会での議員の発言は議会活動の中核部分である。その保障は憲法21条が定める政治活動の自由に属する。発声障害のある議員にその完全な職務遂行の便宜を提供しないのは、発声できる議員にだけ議会活動を保障するというのと同じで、政治的関係における差別にあたり憲法14条に違反する。
 障害者基本法に基づき平成14年12月に閣議決定された障害者基本計画も、障害者が「自己選択と自己決定の下に社会のあらゆる活動に参加、参画」できるよう、支援することを求めている。中津川市議会には、全住民の代表機関として、この憲法と障害者基本法の前で、堂々と胸を張ることができるような対応をとってほしいと思う。
 12月4日東京で開催された「障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会」全国集会で市議の代読発言を認めるよう求めていくことが提起された。いま、政治への障害者の完全参加を求める人々の厳しい目が中津川市議会に注がれている。(憲法学専攻)
------------------------------------------------------------


「声をなくす」ということが、どんなに辛いことなのか、
わたしには、想像することしかできない。
もしわたしが、二重にことばを奪われたなら、
「議員の発言の権利の保全」を求めて、
裁判所に権利保全の仮処分を提起するだろう。

小池さんが、何年も議会での発言の権利を求めて
たたかってきたことを、最近までわたしは知らなかった。

表現の自由を尊重し、言論でたたかうマスコミこそ、
もっともっと、大きな声で、
この問題を、ひろく社会に知らせてほしい。

そしてなにより、中津川市議会は、すべての議員に対して、
ただちに「発言の自由を保障する」べきだと思う。

[PR]
# by midori-net | 2005-12-19 18:31 | 活動
外は雪。
こんな日は「星の王子さま」が読みたくなる。

さいしょに、この本を読んだのは、
わたしがまだ、こども、と呼ばれていたころ。
ヘビにかまれて死んでしまった王子さまを思って泣いた。

『星の王子さま』(サン=テクジュペリ作/
内藤濯(あろう)訳/岩波書店/1962)

(内藤訳・P119)
「たいせつなものは目に見えないんだよ・・・・」

「花だっておんなじだよ。
もし、きみがどこかの星にある花がすきだったら、
夜、空を見あげるたのしさったらないさ。
どの星も、みんな、花でいっぱいだからねえ」

「夜になったら、星をながめておくれよ。
ぼくんちは、とてもちっぽけだから、
どこにぼくの星があるのか、きみに見せるわけにはいかないんだ。
たけど、そのほうがいいよ。きみは、ぼくの星を、
星のうちの、どれか一つだと思ってながめるからね。
すると、きみは、どの星も、ながめるのがすきになるよ」

「ぼくは、あの星のなかの一つに住むんだ。その星のなかで笑うんだ。
だから、きみが夜、空をながめたら、星がみんな笑ってるように見えるだろう。
すると、きみだけが、笑い上戸の星を見るわけさ」


わたしは、星をながめるのが、すきになった。

岩波書店の内藤濯訳の『星の王子さま』を手に入れたのは、
わたしがもう、こどもと呼ばれなくなった、ころ。
その後も、かなしいときやさみしいとき、
「星の王子さま」を手にとった。
こんな雪の降る夜にも、ね。

読むたびに『星の王子さま』はちがう姿をみせる。

ことしになって、池澤夏樹さんと倉橋由実子さんの新訳で、
あたらしい『星の王子さま』がたてつづけに出た。
どちらも、わたしが好きな作家だ。

『新訳 星の王子さま』(アントワーヌ・ド・サンテクジュペリ/作
倉橋由実子/訳 宝島社/2005)


(倉橋訳・P111~)
「きみたちはほくのバラの花とまるでちがうね」
と王子さまは言った。
「きみたちはまだ何者でもない。
誰もきみたちを仲良しにしたわけじゃないし、
きみたちも誰かを仲良しにしたわけじゃない。
ぼくがはじめてあの狐と会ったときと同じだ。
狐はほかの十万匹の狐と変わらなかった。
でも彼を友だちにしたんだから、
今ではこの世に一匹しかいない狐だ」
そういわれてバラたちは恥ずかしい思いをした。
「きみたちは美しい。でも空しい。
人はきみたちのために死ぬ気にはなれない。
そりゃぼくのバラだって、ただの通りがかりの人が見れば、
きみたちと同じようなものだと思うかもしれない。
だけど、ぼくのバラはそれだけで、
きみたち全部を一緒にしたよりもずっと大切なんだ。
だって、ぼくが水をやったんだからね。
覆いガラスもかけてやったし、衝立で風も防いでやったんだからね。
毛虫も(二つ、三つは蝶になるようにそのままにしてたけど)
殺してやった花だから。不平にも自慢話にも耳を傾けてやったし、
黙っているときでさえも耳を傾けたんだから。
彼女はぼくの花なんだ」

それから王子さまは狐のところに戻ってきた。
「さようなら」と王子さまはいった。
「さようなら」と狐がいった。
「おれの秘密を教えようか。簡単なことさ。
心で見ないと物事はよく見えない。
肝心なことは目には見えないということだ」
「肝心なことは目に見えない」と
王子さまは忘れないように繰り返した。
「あんたのバラがあんたにとって大切なものになるのは、
そのバラのためにあんたがかけた時間のためだ」・・・・


星の王子さま』(アントワーヌ・ド・サンテクジュペリ著/
池澤夏樹新訳/集英社/2005)


(池澤訳・P94~)
「星がきれいなのは、
見えないけれどどこかに花が一本あるからなんだ・・・・」

「砂漠がきれいなのは」と王子さまは言った、
「どこかに井戸を一つ隠しているからだよ」
砂漠が放つ光の秘密がいきなり明らかになったみたいで、
ぼくはびっくりした。まだ小さかったころ、
ぼくはとても古い家に住んでいて、
その家にはどこかに宝物が埋められているという言い伝えがあった。
もちろん誰もそれをまだ見つけていなかったし、
ひょっとすると、誰も探してもいなかったかもしれない。
でも、そのおかげで家ぜんたいがすてきになった。
ぼくの家はその心の深いところに秘密を隠していた・・・・・
「そうか」とぼくは彼に言った。「家でも、星でも、砂漠でも、
きれいに見えるものは何かを隠しているからなんだ!」


本の最後のことばば、こころに染みしおる。
 
(倉橋由実子訳『新訳 星の王子さま』P146~147)
まったく不思議なことだ。誰も見たことがない羊が
誰も知らないどここかでバラの花を食べたか食べなかったか
ということで、この世界のすべてが違ったふうに見える。
それはあの王子さまが好きなあなたにとってもだ。
空を見てごらんなさい。羊が花をたべたのか、
食べなかったのかと考えてごらんなさい。
そうすれば、世界がどんなに変わるかがわかる。
そして大人は誰も、それがどんなに大切なことか、
けっしてわからないだろう。


倉橋由実子さんは、この本を訳した直後の
2005年6月10日に亡くなった。

外は雪。
わたしは「星の王子さま」を読んでいる。
[PR]
金曜日に、最高裁で公開が確定した
公文書が一部公開されました。
請求した6団体のうち、2団体分は、
「廃棄・紛失した」とのことで、合計2660枚。
しめて2万6660円分をコピー代として払いました。

今年の冬は、ストーブの前で、この公文書を元に、
実行委員会の公金の不正がなかったか、
精査・分析をすることになりそうです。
公文書を解析するのは、複雑なパズルを解くようで、
けっこう面白くて嫌いじゃないんですが、
時間も経ってるし、量も多くて大変そう・・・・・・。

「廃棄・紛失」したという2団体は、
「文化庁芸術祭岐阜実行委員会」と
「岐阜県民文化祭実行委員会」。
6団体の中では、事業規模も金額も大きくて、
わたしたちが疑惑を持っていた団体です。
全部だったら、この倍くらいだったかもしれません。
係争中のそんな大量の文書が消えるなんて、
だれかが故意に捨てたとしか思えません。

あちこちからかき集めて公開された100枚ほどの文書。
これでは肝心のウラ金づくりがわかりませんね。

このあと、
古田岐阜県知事にお会いして、ちょくせつ質問書を渡しました。

「実行委員会の公文書の破棄・紛失」に対して、
質問書を知事室(秘書課)に持って行きました。
アポなしで行ったのですが、知事が会うとのこと。
応接室で10分ほど待って、知事公室へ。
部屋には古田知事と原副知事がいて私たちは4人。
まず当事者が今回の事件についての趣旨と経過を話し、
知事は質問書を読みながら聞いていました。
その後、率直に意見交換して私たちの思いをお伝えし、
文書で回答をすることを自ら約束されました。
「アポを取ってもらえばいつでも会います。
ここに書いてないことでも何かあったら
いつでも私か副知事に直接電話をかけてください」とも。

古田知事は、公文書を紛失したことを、
とても重大事と受け止めているとのことで、
誠実な人柄に好感が持てました。

以下は質問書の全文です。

---------------------------------------------------------------

     公文書破棄・紛失に関する質問書
2005年12月2日
岐阜県知事 古田肇様
                     情報公開請求代表者 寺町知正

 1997年3月、各種イベントなどを行う「実行委員会」において県の裏金づくりが発覚しました。私たちが詳細を調べようと情報公開請求したところ、岐阜県は、購入や飲食などの「請求書」「領収書」「明細書」などをすべて非公開としました。私たちはこの処分に対し、情報非公開取消訴訟を提訴しました。
 私たちの提訴に対して、今年9月13日、最高裁で関係文書の公開が命令されました。ところが、訴訟対象とした6つの実行委員会のうち2つについて、文書がないことが11月28日夕方、県担当部局から電話で伝えられ、文書の公開日が本日午後2時と決まりました。

 私たちは、6つの実行委員会のすべてについて当該文書を、97年の情報公開請求以来、一度も見たことがありません。つまり、当該文書の法的手続きは、請求当時のまま止まっているということです。
 私たちが公開請求をし、訴訟の結果として公開が命じられた文書であるのに、当事者に公開していない段階での、県の一方的な発表は、情報公開の法的手続きをみずから踏みにじり、反故にするものです。
 県が一方的に公表することを知り、当日11月29日に抗議の意を声明しました。私たちは職員の処分を新聞報道で知りました。 さらに私たちの抗議にもかかわらず、知事は12月1日の県議会において、公文書の紛失を説明し、謝罪したと報道されています。
 これらの事前公表および県議会への謝罪、職員処分は、一見いさぎよさそうでいて、少しでも体裁をとり繕おうとして、社会的批判をかわそうとする意図であることは明白です。
 司法で公開が確定した公文書を紛失したこと、および公文書の事前公表は、行政の法治主義の原則を著しく逸脱する行為で、けっして許されることではありません。
 わたしたちは、一連の県の対応に当事者として強く憤りを感じています。
 
 つきましては、岐阜県関連の実行委員会に関する文書の廃棄、紛失事件について、誠実な対応を求めるために、以下につき、明確な回答を求めます。

1. 謝罪のしかた、あり方について
 「岐阜県」が私たちに謝罪した旨が報道されています。県が29日の会見で「謝罪した」と説明したからに違いありません。私に、副知事や局長から電話があったのは事実ですが、事実経過の説明はありませんでした。
 そもそも謝罪とは、「どうしてこのようなことが起こったかということを、そのことを行った当人らが当事者に直ちに説明し、当事者の質問にも充分に答え、当事者が本当の事実経過を説明していると納得できるものであること」、そのうえでの「謝意の表明」、このことを満たさなければ完結しません。
 例えば、全国で重大な問題となっている建物の構造審査における日本最大手の確認検査機関「日本ERI」の社長らが最近の記者会見で、「1年半前に他の会社から社員が指摘を受けた、しかし上司に伝えられなかった」旨を述べて弁解している様子が報道されています。分かりやすくいえば、今回の岐阜県の上層部の対応、現時点までの対応はこの例と同じというしかありません。
 そもそも、今回のような事件は、あってはならないこと、あり得ないことで、謝罪して済ませる問題ではありません。
 かりに謝罪するにしても、不祥事の絶えない行政、岐阜県もそのレベルである以上、今後のためにも、謝罪のしかた、あり方を反省すべきです。

①謝罪とは一方的に謝意を表せばよいと考えているのか否か。
②知事は今回の件で、当事者に謝罪したと考えているのか否か。
③一方的に電話をして「謝罪した」とすることとした経緯と理由はどのようか。
④現在において、先の11月28日・29日の私たちへの対応をどのように評価しているのか

2.公文書の公開より先に公表したことについて
⑤どのような判断で事前公表したのか。
⑥請求者に公開する前に、いち早くマスコミに発表したのはなぜか。
⑦請求者に公開する前に、県議会で説明し謝罪したのはなぜか。
⑧請求者に公開する前に、他に漏らすことは、情報公開制度の法的手続きに違反しているのではないか。

3. 事実経過の説明について
 今回の問題に関して、当事者である私たちは、県から具体的な事実経過の説明を受けていません。
 加えて、副知事らがどこまで担当職員から直接詳しく聞いているのかもわからない状況では、当事者は、謝罪の前提を満たされていないのですから、副知事や局長からの謝罪と受け取ることは到底不可能です。
 さらに、本日報道では、知事が議会で謝罪したとされています。
 当事者は一体だれなのか?
 とはいえ、こちらは、関係職員らに面会してどうこうしたいと望むものでもありません。
 
⑨今回の「廃棄」「紛失」・・この事態をどう表現するにしろ、関係職員名・職責を明らかにしたうえで、そのものらが今日(こんにち)までの事実経過を時系列および各責任類型の一目瞭然とした書面にして、私たち当事者宛に交付すること。
⑩岐阜県は、今後の同種の事態の再発防止に関して、その決意と対策を当事者に文書で示すこと(なお、これは情報公開条例や個人情報保護の規定の問題ではなく、県の公務における公務としての対応である)。
 

4.職員の処分について
⑪知事は本件の事実経過をすべて知ったうえで、職員を処分したのか否か。
⑫今回の処分は、「トカゲの尻尾きり」ではないのか。
⑬当時疑惑をもたれた裏金づくりなどの文書が公表され、詳細な内容が明らかとなることを恐れ、だれかが故意に廃棄したとは考えなかったのか。
⑭ その可能性について調べたのか。

5.行政訴訟における県の虚偽主張という行為について
 本件文書の実在に関して先般11月30日の新聞報道では、2001年1月には最終確認され、紛失に気づいたのは2003年4月だとされています。
 本件文書公開処分取消の行政訴訟は、2002年2月より名古屋高裁で控訴審の審理が行われ、9回目の2003年10月21日に結審しました。この間、2003年冬ころの審理において、高等裁判所から県に対して、「現在、当該対象文書がどのように扱われているかを主張するように」と要求がありました。
 岐阜県は、同年5月2日付け準備書面(5)において、同年5月1日撮影などとした同日提出の乙17号証および乙18号証を示して実際の保管状況を文書及び写真で説明しています。しかし、この書面において、「一部文書がみつからないこと」は主張されていません。
 即ち、裁判所も原審原告も、実在していることは当然かつ共通の認識として判決にいたっています。最高裁もしかりです。
 この、行政訴訟における行政機関の虚偽主張という行為は誰もが想定し得ないことです。三権分立の構造における司法審査の厳粛さそのものを行政機関が否定することです。
 しかも当該訴訟が「文書が存在するときのその管理権限の所在を争う訴訟」であるのに、文書保管者の県の虚偽主張という行為は信じられず、かつ許されないことです。

⑮訴訟における虚偽の主張をすることをどう考えるのか。
⑯知事、副知事、局長、部長のそれぞれは、本件訴訟における上記虚偽主張があったことを把握して、今回の「廃棄」「紛失」事態を認識して対処したのか否か。
⑰今後、訴訟等に臨むに当たって、どのようにしていくのか。
 
6. 最後に
 私たちは、県の違法な条例解釈により県民としての情報公開請求権を著しく侵害され、かつ、不要な時間と労力や経費を費やしました。
 さらに、本件訴訟を虚偽主張によりいたずらに引き延ばされ、あげく、当該公文書の紛失により、県の公務の適正を確保するために、地方自治法で住民に保障されている住民監査請求の権利すら奪われた可能性が高いと考えます。
⑱これらのことについて、知事はどのように考えますか。

 以上につき、来る1月10日までに文書での回答を求めます。
-------------------------------------------------------------

ウラ金づくり疑惑も、たくさんの行政訴訟も、
梶原前知事の時代に起きたこととはいえ、
知事の権限や行政の事務は継続しています。

今回、起きた公文書破棄の問題をどのように解決するのか、
古田知事の手腕が問われます。
岐阜県と対峙しつづけてきた当事者として、
一県民として、知事は誠意を持って対応してほしい、
できることなら、みずから前政権時代のウミを
出し尽くしてほしい、と心から願っています。

追伸:疑惑のウラ金づくり及び公文書廃棄について、
情報をおもちの方は、ぜひご連絡ください。
[PR]
# by midori-net | 2005-12-05 11:34 | 活動
「エキサイトブログ」と「gooブログ」を併行して試しているが、
サイトへのアクセスが、gooのほうがしやすいし、
機能も充実しているようだ。

さいしょのころは、違う記事を書いていたが、
最近は、gooに書いてから、エキサイトブログを書く、
ということをしている。
時間がないときは、そのままコピーして張り付けている。

ふたつを管理するのは、けっこう大変だ。

ということで、もしこのブログの記事が更新されていない場合は、
以下の「みどりの一期一会」のブログにアクセスしてみてください。

「みどりの一期一会」
[PR]
# by midori-net | 2005-02-08 22:51 | お知らせ
昨日は、柳川さんの講演会。
名古屋に早く着いたので、
高島屋の三省堂書店に立ち寄って、
あさ中日新聞「この人この本」に載っていた、知人が書いた、
『軍事組織とジェンダー』(佐藤文香著/慶応大学出版部)を探したがみつからなかった。

金山の都市センターにも、早めに到着。
テレビカメラも来ていて、開会間近には参加者でいっぱい。
さすが、柳川さんのネームバリューはすごい。
主催者の長めのあいさつのあと、
「私と地方自治」をテーマに講演。
話が多岐にわたったので、印象に残ったフレーズを挙げておく。

NHK問題
「信頼の大事さを痛感している。」
「行政も同じだが、トップは全責任を取るべき。」

梶原知事の県政について
「強力なリーダーシップで、三位一体の評価を得たが、裏返せば、強権体質。」
「基本的人権、特に、表現の自由は、守る努力をしないとなくなってしまう。」

基本的な考え方
「民主主義は、時間がかかり、能率が悪く、手数がかかかる。
 しかし、いまある制度の中では一番よい。
 欠陥だらけの制度だが、いま民主主義をほうり出すわけにはいかない。」
「わたしは、戦争は絶対反対。人間の愚行の中で、これほどの愚行はない。」

公職者として必要なこと
「1、公平・公正=フェアであること。2、情報公開。3、説明責任。
 この三つがろっていること。」

合併
「いま地方分権が言われているが、憲法上はもともと、
 国・県・市町村の関係は、上下関係ではなく、対等な関係」
「このままではやっていけない、は、このままでは、いままでどおり、やっていけない、ということ。」
「一番しわよせを食うのは市町村。
 闘う知事会があるなら、闘う市町村長会があってもよいのでは。」

最後に言いたいこと
1「無所属とは、インディペンデント=独立ということ」
2「クリーンハンドの原則-自分の手が汚れていては、お前の手が汚れているとは言えない」
3「沈黙の共謀-沈黙しているということは、共謀しているということと同じ。」
 「おかしいことにはおかしいと声を挙げよう」

(参考)講演の中で触れられた、
梶原岐阜県知事の退任に際しての、
柳川さんのコメント(2005.2.5 朝日新聞)

「ハコモノとイベントが好きな知事だった。
強力なリーダーシップと言うが、裏返せば、
強権的な体質が目につくということ。
産廃処分場へ問題への取り組みも同じだった。
長期政権の弊害がこれから出てくるだろう。」
[PR]
# by midori-net | 2005-02-07 10:31 | 活動
自分が読んでる本を他人に知られるのは、
心のなかが素通しになるようで、ちょっとちゅうちょ。
で、秘密にしときたい本は、載っていません(笑)。

『超簡単ブログ入門-たった2時間で自分のホームページが持てる』
(増田真樹/角川書店)
 この本には、ブログを立ち上げる時に読んでから、ずっとお世話になっている。
じっさいにブログをやってみると、書いてあることが理解できてくる。
おりに触れて、再読、再再読、している。
ブログって何?って思ったときに、最初に読む本としておススメ。
新書版なので、705円とだれでも買いやすい。
ということで、いちばん先に紹介。

『徴候・記憶・外傷』(中井久夫著/みすず書房)
 ジュディス・L・ハーマンの『心的外傷と回復』(みすず書房)の翻訳者の本。
むつかしかったがおもしろかった。

『お産いすへの旅 ものと身体の歴史人類学』(長谷川まゆ帆著/岩波書店)

『医療が病をつくる-免疫からの警告』(安保徹著/岩波書店)
『自己免疫のメカニズム』(山本和彦著/羊土社)
『心と体の「痛み学-現代とう痛医学はここまで治す』
(スコット・フィッシュマン著/橋本須美子訳/原書房)

『樋口一葉「いやだ!」といふ』(田中優子/集英社)
『神も仏もありませぬ』(佐野洋子/筑摩書房)

『100億稼ぐ超メール術 一日5000通メールを処理する私のデジタル仕事術』
(堀江貴文/東洋経済社)
 話題のライブドア社長の堀江さんの本、ということで、
店頭で見つけて興味を持って、衝動買い。
[PR]
# by midori-net | 2005-02-05 10:50
昨日午後、岐阜地裁に、
3年前汚職で捕まった山崎通・元高富町長の、
「有罪確定首長退職金返還請求」の住民訴訟をおこしました。
(今朝の朝刊各紙に報道されました)

この問題は、
昨年9月の山県市議会でつれあいの寺町知正議員が一般質問、
その後、12月に山県市民13人で住民監査請求、
そして2月4日に住民訴訟として提訴したもの。
いつものように弁護士を立てない本人訴訟です。
(選定当事者は、寺町知正、長屋正信)

さっそく、ともまささんが訴状などを
webページにアップしましたので、
興味がある方は、以下をクリックしてください。

ブログも立ち上げたことだし、
今年こそ、やりたいことを厳選し、出歩くことを減らして、
のんびり楽しく、遊びくらそうと思っていたのですが・・・。

「有罪確定首長退職金返還請求訴訟」訴状
[PR]
# by midori-net | 2005-02-05 09:55 | 活動
←menu